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運命の相手
頼理さまは手が震えて箸を持つことが出来ないみたいで、魚の身をほぐして食べさせてあげた。
「もし骨があったら出してくださいね。喉に刺さったら大変ですから」
「ありがとうりん殿」
「頼理さま、りんでいいです」
「そうか?それならりんと呼ばせてもらうよ」
「はい、お願いします」
頼理さまと目が合うと自然と笑みが溢れた。
ごほん、ごほんとわざとらしい咳払いが聞こえてきて。ドキッとして振り返ると苦笑いを浮かべる青丹さまと黒檀さまと目が合い穴があったら入りたいくらい恥ずかしくなった。
いちくんたちが帰ってすぐに天気が急変した。ゴロゴロと雷鳴が轟き、雨が降りだした。
「うわぁ~~」
頼理さまがガタガタと震えながら僕の体にしがみついてきた。
「雷が怖い。物の怪、祟りはもっと嫌いだ」
まるで子どもが駄々をこねているみたいだった。
雷の音が聞こえなくなるまで頼理さまの背中を擦ったり、ぽんぽんと撫でて宥めた。
「こんな臆病者で意気地無し。嫁が来てくれる訳がない。そもそも女は苦手だ。跡継ぎをつくる必要がないからこのまま一人でもいいかなと思ったんだが」
そこで言葉を止めると、頼理さまが体をゆっくりと起こし、じっと、それこそ穴が開くくらい見つめられた。
「りん、私の……」
丸くなって寝ていた白鬼丸がむくっと体を起こすと、僕と頼理さまの間に割り込んできた。
「すまぬ。邪魔だったな」
頼理さまが苦笑いを浮かべた。
「りんは俺の妹だ。大事にしてもらわぬと困る」
いちくんたちを送っていった青丹さまが戻ってきた。白鬼丸が目をつり上げ唸り声をあげた。
「なんで戻ってきたんだって?妹を不埒な輩から守るために決まっているだろ」
青丹さまは飄々と答えると畳の上にごろんと横になった。
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