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運命の相手

「藤黄、結界を張れ。物見遊山であやかしどもがうろうろしている。りんは見世物じゃないぞ」 「とか言って本当は、できの悪い自分とは月とすっぽんの自慢の妹を連中に見せびらかせたくてここに連れてきたんじゃないのか?」 耳の痛いことを言われギクリとする青丹さま。 「鬼が相手だ。命が幾つあっても足りない。そのくらいあいつらも分かっているよ。それに俺がわざわざ結界を張らなくても」 そこで言葉を止めると垣根の上を見る藤黄さま。 そこには屋敷と外の世界を遮断するように、あやかししか見ることが出来ない透明の壁がぐるりと張り巡らせてあったみたいだった。 「翡翠さまはりんのことを目に入れても痛くないくらい可愛がっているんだろ?」 「親父もだ」 「よくまぁ、翡翠さまに食われなかったな。自分以外の女に孕ませたわらべなど憎いだけなのに」 「そうだな」 青丹さまは僕のことを藤黄さまには詳しく話してはいないみたいだった。 ややこしいことになるから余計なことは言うな、青丹さまの心の声が聞こえてきた。 何気に視線を感じて下を見ると、ふわふわと床の上を漂う人型の紙と目があった。 「もしかしてきみ式神さん?陰陽師の本で見たことがあるよ」 ギクッとする人型の紙。 「あれ、待てよ。確か、式神は人には見えなかったはず……」 「千里眼の母の扇子を持っているからだ」 青丹さまに言われ懐から扇子を取り出すと、式神の表情が変わった。 無表情だったのが明らかに動揺していた。

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