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運命の相手

僕と目が合うなり式神たちの顔が変化していって天井いっぱいに迅の顔が浮かび上がった。迅は僕を睨み付けていた。どうしてそこまで憎まれないといけないのか分からなかった。僕が何をしたというのだろう。そんなに嫌なら引き取らずに施設に預ければ良かったのに。 迅は呪文みたいな言葉を繰り返し唱えていた。ただただ怖くて、僕は目を閉じた。 どうやったら迅から頼理さまと白鬼丸を守ることが出来るんだろう。どうやったらこの式神たちを外へ追い払うことが出来るんだろう。あ、そうだ。藤黄さまが持っていたうちわみたいなもの。あれを借りることが出来れば、風を起こして追い払えるかも知れない。 「頼理さま、すぐに戻ってきますから手を離してください」 「また私を一人にするのか?嫌だ」 頼理さまがますますしがみついてきて、身動きさえ取れなくなってしまった。 「白鬼丸お願い。兄上と藤黄さまを呼んで」 「いちいち呼ばなくても、うしろを見ろ」 白鬼丸に言われ後ろを見ると、青丹さまと藤黄さまが立っていたから腰を抜かすくらい驚いた。気配すら感じなかった。 藤黄さまも僕と同じことを考えていたみたいで懐からうちわみたいなものを取り出した。 「黙っていればいい気になって。天狗は本来争い事を好まない。我関せず。中立の立場にある」 そこで言葉を止めると、隣にいる青丹さまをちらっと見た。

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