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運命の相手
「争い事ばかり。どうしたら人とあやかしが共に生きられるのか。何度考えても答えが出ないのだ。すまぬな、りん。気苦労ばかり掛けて」
恥ずかしくてまともに頼理さまの顔を見ることが出来ないでいたら、寂しそうに呟く彼の声が聞こえてきた。
頭が締め付けられるように痛くなってきて。
「僕のせいだ」
よく考えず謝罪の言葉を口にすると、白鬼丸に袖を噛まれ思いっきり引っ張られた。
「ほら白鬼丸も言ってるだろ。りんのせいでも、誰もせいでもないと」
頼理さまが何かに気付き右手を庇いながらすっと立ち上がった。
耳を澄ませればどこからか不気味な声でヒョーヒョーと鳴く声がどこからか聞こえてきた。
「鵺がなぜここにいる。結界が張られているのに、どこから入り込んだのだ」
鵺は主に夜に姿を現す。余程のことがない限り昼はほとんど姿を見せないと青丹さまが話していた。
「翡翠殿が張った結界を破るとは驚いた。青丹殿も黒緋殿も藤黄殿もいないのだ。私がりんを守らなければ誰が守るというのだ」
床の間の刀掛けにあった小刀を左手で引き抜く頼理さま。
「落ち着け。私にだってりんを守れる。出来る」
自分に何度か言い聞かせ深呼吸をすると、小刀を両手で持ち構えた。
一匹の犬が庭に姿を見せた。白鬼丸と比べればはるかに大きい。もしかして犬じゃないかも知れない。四肢と耳が短くて白銀の体毛は長く、前足前面に黒褐色の斑紋があった。凛とした佇まいは神々しさがあった。
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