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運命の相手

迅の取り巻きたちにトイレに閉じ込められ上からバケツの水が降ってきて全身びしょ濡れになったことをふと思い出した。プラットホームから転落する一週間前のことだ。泣いても喚いても誰も助けてはくれなかった。助けたら次は自分がいじめられる。それが分かっているからみんな見て見ぬふり。関わらないようにしていた。 迅と取り巻きたちはゲラゲラとお腹を抱えて笑っていた。 「そういえば知ってたか?こいつ、両性なんだ」 「両性?」 「男のアレと女のアレが両方あるんだ。気色悪いだろ?」 「へぇ~~」 「そうなんだ」 舌舐めずりしながらじろじろと好奇の目で見る取り巻きたち。いじめは単なる暇潰し。この瞬間彼らの目的が変わった。 「冷たいだろ?脱ぐの手伝ってやる」 逃げようとしたけど取り囲まれてしまった。手首をがしっと捕まれ、そのまま引き摺られトイレから連れ出された。 その時だった。 「どこから入ってきたんだよ」 目の前に見たことがないくらい大きくて真っ白な犬がいた。ウウウ~~と低い唸り声をあげ毛を逆立てて歯を見せていた。 『しょうがねぇから助けに来てやったぞ』 テレパシーなのか、犬の声が聞こえてきた。 『目を閉じてろ』 犬は迅と取り巻きたちに飛びかかった。

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