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運命の相手
「邪な心を持つお前らがどれだけりんを探しても無駄だ。りんの姿は見えぬわ」
惣右衛門さんの声が聞こえてきた。
「なんのことだ?」
「しらばっくれな」
「しらばっくれてなんかいない」
「じゃあ聞くが木蘭は何をそんなに必死で探しているんだ?戦より大事なものか?」
「うるさいな。我ら天狗より劣る人の癖に。威張るな!」
天狗の男が声を荒げた。
「鵺どもは何をしているんだ。さっさと此奴の口を封じろ!」
「鵺か?一匹残らず頼理と白鬼丸が退治したぞ」
「嘘だろ」
五匹はいたのに。信じられないと動揺する男。
「鬼を甘く見るな。鬼を敵に回すな。口を酸っぱくして何度も忠告したはずだぞ。年を取ってから産まれたややこほど可愛いものはないとな。おおかた迅に天狗の長にでもしてやると唆されたんだろう」
「うるさいな」
図星だったのか声が裏返る天狗の男。
「黙れ!吹き飛ばしてやる。神聖な場所に穢れである犬を連れ込むとはな。許さん」
葉っぱみたいなものを左右に振ろうとしたとき、目も止まらぬ早さで白いものが男の前を横切った。
「忌々しいくそ犬ども!」
葉っぱみたいなものを取られ地団駄を踏む男。
「犬ではないぞ」
狼が静かに口を開いた。
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