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運命の相手
「狼さん助けてくれてありがとう」
しゃがみこんで頭を撫でると、くんくんと鼻を頬に寄せてきて。ぺろっと鼻先を舐められた。それを見た瞬間頼理さまがむっつりした表情になり、あわてて僕を狼から引き離した。
「焼きもちを妬くほどに心を寄せるひとが出来て本当に良かったのう。長生きをするものだ」
惣右衛門さんが感極まり涙を拭った。
「おぃ、いつまでその化けの皮を被っているんだ?」
天狗がじろりと狼を見下ろした。
「もしかして藤黄さまと同じ天狗さんなんですか?彼も変幻自在にその姿を変えることが出来るんですか?」
「天狗ではない。化け狐だ」
「化け狐とは失敬な。水無月というれっきとした名前がある。狼に化ければ正体を見破られることはないと思っていたが、さすがだな」
「なぜ助太刀に?」
「火急のようだ。奴らは竜神の祠を壊し竜神が二度と外に出れないように呪詛をかけた。淵の水面はなぜか炎がめらめらと燃えている。鼻につくくさい臭いに誰も近寄れない。あやかしの里は業火に包まれる。竜神も翠鳳も翡翠も里の者も皆殺しだ」
「そんな……」
愕然となり、目の前が真っ暗になった。胸を鋭いもので貫かれるような衝撃を感じた。
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