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運命の相手

「白鬼丸、水無月さん家に帰ろう」 「強行突破するしかないな。俺らが盾になる」 「お願いだから命だけは大切にして」 「分かってる」 白鬼丸と水無月さんのあとに続き一気に険しい山道を駆けおりた。 「くずくずするな。弓を放て!」 大鎧を着用し馬にまたがる恰幅のいい男が、胴丸を着用した徒歩武者に大声で怒鳴り付けた。 「出来ません。頼理親王殿と竜神の巫女に弓を放つなどそんな罰当たりなことは出来ません」 男が鞭みたいなものを振りかざし異を唱えた若い兵の顔面に容赦なく振りろした。 「あやつらはお上に害をなす謀反人だ。殺して良いとお沙汰があった。弓を放て!」 苦悶の表情を浮かべ地面にうずくまる兵の顔を馬の脚で踏みつけながら怒鳴り声をあげる男。 上官の命令は絶対。歯向かったから何をされるか分からない。恐怖で顔をひきつらせながら兵たちは従うしかなかった。僕たちに向けて一斉に弓を構えた。 そのときだった。かぁかぁと鳴きながら数十羽の烏の群れが兵たちの頭上をぐるぐると旋回しながら次から次に石を落とし始めた。 「忌々しい烏め。さっきから邪魔ばかりして。許さんぞ」 男が兵から弓を奪い烏に向けて弓を放とうとし時、とつぜん小さなつむじ風がおきて、驚いた馬が暴れ男が鞍から地面に落ちた。

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