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運命の相手
恋人同士……みたいに。
僕、キスってしたことないから。
一度でいいからしたかったな。
でも、自分からキスをして。なんて、はしたないかな。
「そうだな、私も……」
囁くような声が聞こえ、唇に温かく柔らかなものが触れてきた。
そっと押し当てられただけのような、掠めていっただけのような温かいもの。次の瞬間、それが頼理さまの唇だと理解した僕は一気に真っ赤になった。
「あ……」
驚いて声も出ない。みるみる熱くなる頬。どうすればいいか分からず固まってしまうと、頼理さまも戸惑ったような顔を見せたけど、
「りんと夫婦の契りを交わしたのだ。ひとりでは行かせない」
肩をそっと抱き寄せられ、
「愛してる。もう二度と離れぬ」
思いの丈を込めてぎゅっと抱き締められた。
「頼道さま巻き込んでしまいごめんなさい」
「なぜ謝る?私は嬉しいのだから謝る必要はない」
ドキドキする胸の中、ぽかぽかとひだまりのように温かい頼道さまの言葉がじんわりと溶けていくのを感じながら、僕は小さく頷くと頼理さまの腕の中に身を委ねた。
水の底には竜宮城みたいな立派なお社が建っていたから驚いた。そのお社を守るかのように大きな龍が静かに横たわっていた。鱗に覆われた長い体を持ち、角と髭を生やしていた。漫画や小説の中でしか見たことがない龍が実際に目の前にいたから、その迫力に度肝を抜かれしばらく呆気にとられてしまった。
「なぜ私もりんも息が出来るのだ?」
「我の巫女の力だ」
どこからか声が聞こえてきた。この声は間違いない、竜神さまの声だ。
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