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運命の相手

「迅は下がってろ。不届き者は私が成敗する」 幸人さまが迅の前に立つと刀を鞘から抜いた。 「怖がりでへっぴり腰でろくに刀も握れなかった頼理が、黒緋と藤黄の愛の鞭でめきめきと上達した。頼理はやるときはやる男だ。どっかの親王とはえらい違いだな。おぃ、おぃ、大丈夫か、足が震えているぞ。そんなんで迅を守れるのか?」 白鬼丸がニメートルはある金棒を軽々と肩に担いだ。 「幸人、怖い」 迅がわざと可愛い裏声を出して幸人さまに抱き付いた。 「演技が下手だな」 「五月蝿い!」 「なぁ迅、これが何だかお前なら分かるよな?」 白鬼丸が懐から紙切れを取り出すと迅に付き出した。 「知るわけないでしょ」 ぷいとそっぽを向いた。 「じゃあ教えてやる。これは熊野牛王神符だ。裏に書いた誓いを破ると神様の怒りを買って死ぬんだよな?人の名前で書きやがって。罰当たりもいいところだ」 そこに書いてあった名前は僕や頼理さまではなくて、彼のお父さん、つまり帝の名前だった。 「国に災いを呼ぶのはりんではなく、迅、お前のほうだろう?可愛い顔して中身はとんでもない悪者だな。竜神もかなり怒っているぞ」 黒緋さまが目をつり上げて腕を前で組み宙に浮いていた。 竜神さまはスピードを惜しまず戦場を飛び回ると、その風力で敵をみな吹き飛ばしてしまった。都を襲う業火も一瞬で消し去ってしまった。 そのすぐあとに、「りん、りん」と恥ずかしいくらい僕の名前を連呼しながら頼理さまが助けに来てくれた。

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