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僕が選んだのは
「りんが帰ってきたと聞き付けてみんな集まってきている。すごい数だ」
顔を布で隠した黒緋さまが姿を見せた。離れて数日しか経過していないのに、孤高の凛々しさに磨きがかかっていた。
「久しいの。元気そうで良かった」
「黒緋さまも元気そうで良かったです。不躾とは存じますが……」
「藤黄と青丹をあまり怒るなってだろ?分かっている。俺には黒谷のものたちを守る責務があるゆえここから離れることが出来ぬ。待つことしか出来ないのが歯痒かったが、必ずりんを連れて帰ると申した藤黄と白鬼丸を信じて待っていた。りんの姿をこの目で見れてようやく安堵した」
黒緋さまが微笑みながら胸を撫で下ろした。
「りんちゃん」
「たぬこさん、それにいちくんたちも。会いに来てくれてありがとうございます。こんな格好ですみません」
「他人行儀はなしよ」
気付けば里のみんなが僕のまわりに集まっていた。部屋に入りきれなくて廊下と庭にも大勢いた。
子どもたちは見ないうちにみんな背が伸びて大きくなっていた。いちくんは赤ちゃんをおんぶしていた。半年に弟が生まてもうこんなに大きくなったんだよ。と教えてくれた。たぬこさんも狐のお母さんもみんな子沢山だ。
「みんなは頼理さまに会った?」
「ううん」首を横に振る子どもたち。
「また迷子になっているかも」
「いつもそうだから」
「え?そうなの?」
「うん」みんな大きく頷いた。
「いまだに道端に物の怪の類いがいると大慌てで逃げていくのよ。そのまま戻ってくれば迷子にならないんだけどね。なぜかまったく違う方向に行ってしまうのよ。困ったものね、どうしたらいいものかしね」
たぬこさんたちがはぁ~とため息をついた。
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