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2.結婚観①

   この世界では腕っぷしと繁殖力は強ければ強いほど良い。よく文明が栄えたと感心してしまうくらい野生的である。結婚は完成された強い大人の証として非常に重要視されている。正式に伴侶となるには神官の立会の下宣誓をしなければならない。神に認められた二人には顔に揃いの文様が浮かび上がる。一目で判る既婚者の標だ。子孫を増やせないことと試練を経ていないことから推奨はされないが、同性婚も存在する。相手が何者であれ神が祝福を授けたのであれば一人前と認められる。  結婚を前提としない交際は有り得ない。未婚カップルは全て婚約状態と見做される。婚約者同士は顔に文様がない代わりに、外では身体を密着させて二人の関係性をアピールする。身に着ける物を揃えると尚良い。秋生も外を歩く時はマキニヴァと手を繋いだ。なんなら腕にしがみ付いて歩く。初めは成人男性同士で手を繋ぐのに抵抗があり、服の端を掴んだりなるべく側にいるようにするだけだったのだが、その結果があれだ。この命綱を放してはいけない。  二人は街の外の荒野を目指していた。こちらでは移動は基本的に徒歩になる。現代人の秋生はそこから慣れる必要があった。前回は狩場に行くだけで疲れてしまった。引きこもっている間に衰えてしまった体力を戻さなければいけない。毎日歩いて荒野に通い、部屋でやるよりずっと遠くに置いた的に斧を当てる練習をした。 「いいね、だいぶ命中するようになった。すごいよアキオ」  褒め上手なマキニヴァの的確な指導により、秋生の腕前はめきめき上達していた。どこまでもいい奴、マキニヴァ。いっその事このままずっとマキニヴァと二人で暮らしていけたらいいのにな、なんて思いがよぎることもある。まあ逃げだ。チュートリアルが終わらないでほしい。厳しい現実に叩き出されたくない。

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