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2.結婚観③

  「華奢な人がいいなあ。女の子らしくて可愛いじゃん? 性格は優しくなきゃヤダ! やっぱ気遣いができる子じゃないと。一緒に暮らしてくなら性格は大事だよな。胸は別にあってもなくても・・・いや大きかったら嬉しいけど。マキニヴァは? おっぱいの大きさはどれくらいが好み?」 「おっ・・・・・」  マキニヴァは赤くなった顔を手で隠した。三つ年上とは思えないくらい初心だ。童貞だから仕方がない。ちなみに秋生は二十一歳。高校時代には彼女がいた。キスだけで最後までは致してない。こっちの価値観では交際して破局は大っぴらにできる事ではないから自慢できないが、女性と触れ合った経験は秋生に力を与えていた。自分はただのタシュアプケじゃない。頑張れば一人前になれるんだという自信と希望に繋がっている。  秋生は唯一マキニヴァに勝てる猥談が好きだった。現代日本の充実したエロコンテンツで得た知識で異世界の童貞にマウントを取る。自分も童貞なのに。虚しいと解っていても止められない。 「それでおっぱいはどんなのがいいんだよ?」  この質問はいつもはぐらかされてしまう。もはや答えは期待していない。恥ずかしがらせるための質問だ。 「ち、乳首がキレイなら・・・・・ああ恥ずかしい!」  予想外に返ってきた答えは、何と言うか予想外の答えだった。確かに乳首の形状は大事だ。色とか乳輪の大きさとか。そこに目を付けるとはさすがマキニヴァだ。できる男は違う。  数日かけて根掘り葉掘り聞き出した情報をまとめると、マキニヴァの好みは小柄で華奢で乳首がキレイで、明るくてポジティブで夜の生活も積極的な人だそうだ。女子から求められたいという気持ちは秋生にもよく解る。しかし自警団の団長で頼れる男が受け身なのはちょっと意外だった。何かにつけて秋生の意見を聞きたがるのは、私生活では受け身でいたい気持ちの表れだったのかも知れない。「どっちでもいい」とか「マキニヴァの好きな方」とか、秋生はお座成りな返事ばかりだったのを反省した。

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