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【続編】3.不調

   屋台で早めの夕飯を済ませ、宿に入る。当然同室でベッドは一つ。まだ宵の口だが、秋生は疲れたと言って早々に横になった。壁側を向いて考える。今日は久し振りの世界間ギャップを味わった。大きくてガラの悪い女性たち。タシュアプケより余裕と威圧感がある男性たち。秋生の価値観では受け入れがたい顔の文様。あからさまな差別と暴力。  マキニヴァは秋生が思っているよりずっと強かった。割と喧嘩っ早いほうだったらしい。そうやって差別と闘ってきたんだろう。しかし暴力に抵抗感がないやつと結婚なんかして大丈夫だろうか。そのうちDVとかにならないか? ふだん温厚な人間ほど怒らせると怖いって言うし。セックスのとき雑に扱っちゃうのも止めないと・・・・・  秋生は強引なプレイが好きだった。優しいマキニヴァがどこまで許してくれるのか。異世界で根無し草な自分が不安で、つい試したくなってしまう。そんな秋生にマキニヴァは結婚しようと言ってくれた。マキニヴァは全部受け入れると言っているのに、いざそうなると尻込みしてしまう。自分でもしょうがない奴だと思う。 「アキオ、もう寝てしまった?」 「起きてるよ」  隣で横になったマキニヴァと向き合う。顔が近い。 「マキニヴァって強いよな」 「うん。アキオの前では見せたことなかったね」  喋りながら唇を寄せてきた。マキニヴァの声が秋生の口腔に響く。 「俺なんて一発で・・・ん・・・」  マキニヴァは喋る秋生の口に舌を入れて話しの邪魔をした。 「俺はアキオに勝てない」  困ったような、嬉しそうな、マキニヴァのいつもの笑顔は深い口付けで見えなくなった。今日はやらないで寝とこうと思っていたのに、すっかりエロくなったマキニヴァの誘惑を断り切れなかった。  正常位で腰を動かしながら揺れるマキニヴァの男根を見下ろす。いつものようにサイズを馬鹿にしたりしてはいけない。今日から寸止めも連続イキもイラマチオもおしりぺんぺんも禁止。あんまり楽しくないけどマキニヴァは気持ち良さそうだ。秋生も気持ちよくないわけではない。でも今日は考えたいことが色々あって、マキニヴァも結局この世界の人間なんだなとか、そもそもなんでこんな事になったんだっけとか、全然集中できないでいたら中折れした。 「ごめん・・・」 「俺の方こそごめん。疲れてるって言ってたのに無理させた。ごめん。もう寝ようアキオ」  置いてきたはずのぎこちない空気の中で二人は眠りについた。

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