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第20話
女将は呆然として多分真っ青だった4人にお茶を出してくれた。
4人は落ち着くと口々に女将にさきほど山で見た女将の話をした。車に乗っていた小さい双子の男の子の話も。
女将は首を横に振った。「ここで仕事がありますから、山に遊びになんていってませんよ。それに、双子の甥なんていませんし。何かの勘違いじゃないんでしょうか」
きっぱりとした口調だった。
そういわれると否定のしようはない。4人はしばらくしてから宿を辞した。
街に戻る車の中で佳代ちゃんが和子に早速電話をした。今あったことを話しているのだ。
「幽霊じゃないの?なんでわかるの?」と電話口で佳代ちゃんは問いただしている。「私も見たわよ。ほんとに。びっくり」
佳代ちゃんは他の3人に比べ立ち直りが早い。
怖さよりも自分も幽霊のようなものを見ることができた、ということに興奮と喜びを感じているようだった。どことなく声がうきうきしている。
「この中で一番強いのが誰かはっきりしたな」と東城はつぶやいた。「まあ、最初からわかっていたような気もするが」
佳代ちゃんから聞いた和子の話によると、自殺した女性の幽霊ではないそうだ。あの幽霊にはそんな積極的なコミュニケーションをとるようなことはできない、ということだった。
じゃあ、なんだったんだろうと佳代ちゃんが食い下がって聞くが、それは和子にはわからないとのことだった。
「私は霊感はあるけど、万能じゃないのよ。世の中分からないことだらけなの。それに、得体が知れないのかもしれないけど、助けてもらったんでしょう。心の中で感謝して、後は、気にしないでいいんじゃないの」と和子には言われたようだった。
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