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第21話
山で見つけた女性の遺書のとおり、広瀬と今回の強盗事件の担当者は盗品の一部をみつけることができた。盗品には容疑者一味の指紋がついていた。また、遺書を読んだ容疑者の1人が口を割り、逮捕起訴することができた。
「口を割ったのは、彼女が付き合ってると思ってた男ではなかったんです。証言したのは別な男で、その後、仲間もやっと認めました」
自殺した女性に関係する強盗事件の捜査の進捗に関する東城の質問に、広瀬はそう答えた。
「付き合ってた方の男はどうだったんだ?」
「遺書読んで笑ってたそうです。バカじゃないかって言ってたらしいです」
「彼女、ほんとに悪い男にひっかかったんだな」
「あんな子供っぽい封筒と便箋だったのも付き合ってた男が笑った理由だったみたいです。最後まで頭悪いとか言ってたらしいです」
「かっこつけて白い封筒と便箋買ってくる時点で頭冴えてるんだから、自殺なんてしないだろ。せっぱつまってたら手近なもので書くくらいしか思いつかないんじゃないか。今時、封筒と便箋なんて家にないからな」
広瀬はうなずいた。「仲間の男は、かわいそうって思ったみたいですよ。遺書読んで泣いてたって聞きました」
「幽霊と実物が同じだとしたら、華奢できれいな若い女だったから、いくらでもいい男と付き合えたし、楽しい人生もあっただろうに、自殺なんかして、もったいないよな」と東城はつぶやいていた。ちょっと誰かに相談していたら、他に道があっただろうに、と。
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