2 / 21
第2話 ここは欸貝哦式世界。
はぁ……何だかんだあったけど。
うっかりここは武林式少年漫画風BLで、武林の外に拳を突き出した俺は、幾多の攻めを殴り倒し、狩りまくり、その末におのが番と呼ばれる伴侶を見つける旅に出るのかと思えば……全く違ったわー。ほーんと前話のルビ、どないしてくれんねん。
さて、ホアン武林の外には何故か高級感たっぷりな黒塗りの高級轎車 が待っており、運転手がはいどうぞとドアを開く。因みに運転手は運転しやすいようにか、よくある短めな丈の中華服ーーいわゆる中式罩衫 に袴子 と言った出で立ち。車はあるものの、中華コスプレなので合格……!
※コスプレちゃいます
「ねぇ……俺、何かドキドキすんだけど……言っちゃ悪いけどこんな密室にお前と入れられたら……襲……っ、ちゃうかも」
「私だって……こんなにも君に、ムラムラしている……!」
あんっ、そんな正直すぎるぅっ!
「もちろん、車内でもオッケーだ。床 が良ければ……雄激 抑制剤も一応飲んでいるから……」
た、確かに初めての致しだもんな……。だけど……、反応しちゃってる時点で抑制剤効いてないじゃんか……!やはりそう言う便利なものがあっても、運命ならば効きづらいと言うことか。
「中、キレイだし……俺はいいけど。でも汚したらどうしたら……っ」
いや確実に汚れるわ!!
「問題ない。ここは私と君の専用車だ」
何ですと――――――っ!?そんなご都合主義な……!でもご都合は自分で作るもの!それも烈哦性 の矜持……!
気に入らないものは全て殴り倒せが合言葉なの……!
「君と、シたいな」
なにその帥哥 顔!帥哥 顔で上目遣いはずりぃっ!
「うぅ……君じゃなくて……リュイでいい」
俺の名前、長いから。普段は家族や親しい友人はそう呼ぶのだ。ーー勝負の時は家族でもフルで呼ぶ習わしだけども。
「なら、私は玖狼 ……いや、玖 でいい」
「玖 」
「あぁ」
玖 の手を取り、後部座席に腰掛ける。
俺たちを後部座席に乗せた車のドアが閉じられれば、車がゆっくりと発進する。
そして密室に欸性 の濃密な匂いが充満する。本当に……滾るものだな……。そしてこんなにもそそるのは……やっぱりこいつが、玖 が俺の運命ってことでいいのか。
「玖 」
俺は自ら玖 の口に口付けた。ゆっくりと玖 を押し倒せば、玖 も力を入れずに座席に横たわる。
そして自分のナカに挿入 るのであろうその股間に手を伸ばす。
「ん……お前ギンギンじゃん」
「……恥ずかしいな」
「何言ってんの。じゃなきゃ興が冷めちまう」
「……それもそうだ」
クスリと微笑む玖 に口付ければ、今度はより濃密な口付けを交わす。
しかも長衫 の長い布をめくれば。
「お前……何でだしてんの」
こいつ袴子 の隙間から既に出してるし!内袴 も……穿いてるけど出す穴ついてるし。でもこんなでかくて、太くて……長くて。ギンギンになっちまうんなら仕方がなくも……あるのか?
そして玖 の雄根を可愛がってやっていれば、玖 がゆっくりと俺の後ろに腕を回して俺の袴子 のウエストをおろし、また内袴 もゆっくりと下ろしてくる。ひんやりと尻の柔肌を這う指の感触が、妙に妖艶で……。
そして期は熟したと言わんばかりに、双丘の谷間に窪む蕾に玖 の指が伸びてきて、そっと触れる。
「ん……っ。気持ちよくしねぇと、承知しねぇぞ」
「あぁ、もちろんだ」
玖 の指づかいは、その言葉通り気持ちよく、最高で。
車に揺られながらもその中で……。
「あぁ……っ」
興奮した玖 の肉棒を咥えて腰を振る。
「ん……っ、まさにキュウキュウに締め付けられてるようだ……っ」
そりゃぁ俺は……絞め技が得意だから。
二つ名はだてじゃない。
「ほら、ちょうだい」
「あぁ……もちろんだ」
蜜壺のナカにたっぷりと注がれる濃厚な蜜は甘美なもので……。
「ん……もっと」
「もっと……か、いいだろう。私もまだまだ射精 したりない」
お互いに……ってことか。それならば、存分にいただくとしますか。
※※※
再び車のドアが開かれ、車が停車していることに気が付く。
あ、やべ。やりすぎた……?車の後部座席はそこら中に汁が飛び散り、独特の匂いが充満しているであろう。
「もうついてしまったのか……まだ番っていないのに」
そう残念そうに告げるのは、あんなにやっても体力気力性欲どうなってんだと思ってしまう欸性 の玖 。
でも、じゃないと烈哦性 の番にはなれまいな。
「うーん、本格的な発情期 じゃないからかな。気分が乗らない」
「気分、なのか?」
「……うん?」
番になれるのは哦性 の発情期 の時のみだが、何だか今回の浮わついた感じは本格的なのではない気がするのだ。
「では、本格的な発情期 になったら、欸性 を襲いまくる前に私と番になってくれ」
いや、そのー……欸性 を襲うって……。今までは攻めだと思っていたが、この世界が欸貝哦世界 だと分かってからは思うのだ。
烈哦性 は発情期 の時は血が滾り、戦闘に没頭したり、あとは欸性 に見境なく襲いかかったりするのだ。
うん……普通の哦性 なら哦激素 で欸性 を誘うだけだが、烈哦性 は自ら襲いに行く。
発情期 は烈哦性 にとっては弱点ではない。むしろ……チートタイムかな……?
「んー……玖 が襲われる欸性 になってくれんなら、気が向いたらな」
さらりと出たこの言葉は、きっと烈哦性 故か。
「あぁ、喜んで」
そしてそうでなくては、へたれ欸性 と尻を蹴飛ばしていただろう。
「お二人とも、そろそろ」
運転手に呼ばれ、ハッとする。
「降りようか。清掃は任せるといい」
「うん?それなら」
ズボンを上げながら車をひょいっと下りる。ひんやりとする空気が気持ちいい。続いて玖 も車から下りてくる中、目の前には中華時代劇に出てきそうな巨大な中華公館 。
俺たち……汁と言う汁でべちゃべちゃ。雰囲気台無しだけどな。
「まぁ取り敢えず、風呂に入ろうか」
「……そうだな」
玖 の意見には大賛成だった。いや、入らぬわけにはいくまいか。
――――
「なぁ玖 」
「どうした、リュイ」
2人で大きな湯船に入りながら。
――――――中華で湯船はありなのだろうか。武林では天然温泉があったけど。
んー、でもまぁいいか。なぜか車のある世界だし。なんたってお風呂、ちょー気持ちいいんだもん。
「あのさ、俺武林から出たばかりだし、この世界の基本を学んでみたい」
「ふむ……そうだな。武林の中と外では違うことも多いと思う」
うん、そうそう。
いや、基本は変わらないと思うのだけど、俺、完全にルビ振り間違えてたんだもん。
「では、上がったら早速、私と共におさらいしようか」
「うん、そうだね。あぁ、でも俺、一応用心棒するんだよね?仕える家のお坊ちゃんに教わって大丈夫?」
むしろもうセックスまでして、今こうして風呂にまで一緒に入っているのだが。
「……何を言っている?リュイは私の番なのだから、用心棒ではなく、私の夫 となるのだ。用心棒にはならないよ」
「……はい――――――――――っ!?」
しかし、それもそうだ。俺は……俺は玖 の番。玖 が俺の欸性 。
「俺、右も左も分からん田舎武林の烈哦性 なんだけど」
「構わん。烈哦性 は哦性 の亜種。欸性 の男人 となら子を成せる」
まぁ……うん、烈哦性 にも【オメガ】が入るもんね。哦性 とは違う部分がかなりあるけども。
「それに私の母親もホアン武林出身の烈哦性 。何の問題もない」
ま、マジで!?じゃぁうちの媽 とも知り合い?いや、普通知り合いかぁ……。広くてもみんなだいたい知り合いだし。普段こちらで生活していても、修業 時代も烈哦性 ならば媽 とも共に修練していただろうな。
「安心して我が嫁となるがいい」
「……んー、ちょっと違うかも」
今口説かれた……かも。プロポーズってやつかもだけど。烈哦性 流には違うのだ。……多分。
「いや、玖 が俺の欸性 になるんだろう?」
「……はは、それも違いない」
俺の言葉に、玖 はクスリと笑う。
「さて、そろそろ上がろうか。我が夫 よ」
「もうそのつもりなのかよ。あと、お前が俺の夫なんだよ。もし夫夫 になっても」
「そう言うところは好きだよ」
「……そうなのか?」
烈哦性 って結構気が強い……と思うのだが。
さすがは烈哦性 の息子の欸性 と言うことだろうか……?
ともだちにシェアしよう!