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第5話 やっぱりそこはジャージだろ。
「何で中華風なのにジャージじゃねぇんだよ、ゴルラァッ!!!」
「げぶっ!!!」
その日、俺は怒り狂っていた。
せっかく期待していたのに……!学校期待してたのに……!だってこの世界は……中華風なんだ。そして中華風と言えば……ジャージ制服……!
ちょっと見てみたかったのに。
現在俺がいる教育機関は大学。地球での大学機関と等しい。その下に高等学校……いわゆる高校があるのだが……。
体験講義を受けに来る前に高校に案内されて見学しに行ってみれば……!なんとまぁ残念なことに……。ジャージじゃ……なかった……!
普通にみんな中華コスプレ制服だったよぉっ!それでもまぁいいけどさ!!
でもジャージはどこ行ったあぁぁっ!!ジャージの中にどんなTシャツ着てるのか気になるやろがい……!
……なお俺は本日、皇甫 家から着てきた丈の長い中華服ーー玖 のおさがりの長衫 であった。
あぁしかし。俺のジャージの夢は……潰 えたー。
だがしかし、初めて会うこの世界の哦性 の学生たちを見つけ、朋友 になれるかなとウキウキしていた俺の前にいきなり不躾な欸性 が現れたのだ。
『お前、哦性 か!新参ものの哦性 なら、まずは焼きそばパン買ってこい!』と叫んで指差してきた不敬な欸性 は俺の頬パンチで完全に粉砕され気絶した。
――――――いや、てか。中華風なのに炭水化物イン炭水化物の焼きそばパンあるんかい――――――っ!日本人が餃子と米一緒に食べてたらだいたい突っ込まれるのに、この世界焼きそばパンあるんかい……!
――――――やはり異世界。ご都合は自分で力ずくでら切り開く烈哦性 が存在する世界だからか。
いや、中華圏にも焼きそばパンが逆輸入されてるかもしれんが。なら……餃子と米一緒に食うてもええやんけ――――――――っ!
あぁ、話がそれた。ついつい飯の話に行ってしまうのは、前世日本人だったからか。それともこの身の性質ゆえだろうか。
とりま俺が講義室内で欸性 を粉砕したため、同じく欸性 の男どもは恐怖でおののき震えている。欸性 ともあろうものが情けない。しかしそれも、割りと知られていない彼らの本質でもあるのだ。
続いて貝性 の男どもは、貝性 の本能と言うより人間の本能が警鐘をキャッチして脅えている。
一方で華奢でかわいらしい見た目のものが多いが、たまに美人やガチムチマッチョを見掛ける哦性 のコたちはドキドキしながらも俺を見つめている。
しかしこの場は修羅場と化した。講義室にいた欸性 の教師は既にその場で崩れ落ちている。大の欸性 が情けない。そう言う情けないところがあるのも欸性 である。俺に言わせれば、ね。世間一般的に欸性 って三大モテポイントが輝くのだけど。今の彼らは完全に太古の本能を見え隠れさせている。
そんなわけで講義室内の統制が取れなくなったので、颯爽と立ち上がったのが欸性 の女子。
それを貝性 の女子たちがドキドキハラハラと見守る。
大学生の彼女は……清楚なワンピース。中華コスプレじゃないんかい、そこぉっ!旗袍 じゃないよ!
なんちゃってヨーロッパは見掛けないのに何でワンピースあんねん。
あれは確実に……日本風、オタク文化から来ているのだと……俺は勝手に思っている。
――――――――しかしこの世界の男人 は腑抜けばかりらしい。そしてどこの世界でも、度胸があるのは女人で間違いない。
でも俺は思うんだ。受け男子も度胸、哦性 も度胸、烈哦性 は……限于暴政 !!
「取り敢えず医務室に連れていくか、講義室の外に捨てたらどうかしら?ここに置いておいたらお邪魔ではなくて?」
彼女は淡々と告げた。欸性 女子は(個人差があるが)プライドが高く、自分に見合わないと思った男にはとことん冷たいことが多いと言う。
そして伴侶に選ぶものはだいたい欸性 の男人 であるが、その欸性 も自分よりも優秀でなくては結婚相手には選ばないんだとか。
「あなた。コレをぶっ飛ばす腕力はあるのでしょう?」
欸性 女子の言うことは尤もである。俺はめっぽう喧嘩が強かった。細身で華奢な腕であるがゆえ、大学構内ではナメられることも多かったが、しかしその腕で沈めてきた男人 の欸性 も、貝性 も多数。
なお、哦性 男子と女人には手を出さない。これは俺の信念でもある。
だって。哦性 男子と女人は生命の母である。俺を産んだ母と同じ。子を宿してその身で命と度胸と医療費をかけて産み落とす。そんな母なる姓を、殴るなんてとんでもない。殴っていいのは、クソみたいな欸性 と貝性 の男人 だけである。
※あくまでも個人の主観です
「なら、医務室に連れていくか、講義室の外に投げ捨てるかどちらか手伝ってくださる?欸性 とは言え女人のか弱き腕では、重クソい欸性 はなかなか動かせませんの」
クソ重いではないのだ。重クソいなのだ。そこに彼女の、あわれな気絶した欸性 への蔑みを感じてゾクりとする。このディスり具合よ……!
彼女は……この世界で俺が出会った欸性 の中で3番目のカリスマ性を持つと見た。
もちろん1番は最強をほしいままとした烈哦性 ・我が母を番とした父欸性 である。
「よろしくて?」
「……まぁ、いいだろう」
俺はまず伸びている欸性 に近付くと、その股間をぐわしりと掴んだ。
「あら。去勢なさるの?」
欸性 女子は、『去勢』ワードですらすんなりと告げる。やはり欸性 女子は……この世界の男人 の欸性 よりもよほど度胸に満ち溢れているな。
さすがは、母なる姓のひとつである。
「やっぱ捌 いてから捨てなきゃ、ほかの哦性 が困るじゃんか」
欸性 の欸性 たる象徴を捥 ぐ。するとあらあら不思議、欸性 は二度と哦性 に対して蛮行を働く気も起きぬほど憔悴し、意気消チンするのだ。
「まぁ、確かにその意見には賛成ですわね。このような欸性 の種 がほかの女子に手を出しては大変です。みな、このような欸性 でも欸性 なので憧れを抱く。そして手を出す欸性 。喰らえクソ」
よく分かっている。この欸性 女子。因みに彼女の言う女子とは貝性 女子のことだ。哦性 には男人 しかいないから。
そしてクソ喰らえではなく喰らえクソなところはさすがのセンスを感じる。
「ですが、か弱く純粋な女子たちにその汚いクソ種生成処 を見せるのはどうかと思いますわ」
「いや、見えないようにやるから平気」
哦性 男子たちの目にも悪いからね。
「ならば結構、機は熟しけり」
「ならば一丁、烈哦性 の秘技鶏鶏睾丸一切都摘下了 !!」
バチコーンッ
欸性 の一式は、キレイに捥げてズボンの中で転がった。なお、ズボンの裾からこぼれおちないよう、ズボンの裾と靴下の入り口を縫い付けておくのも忘れない。
「やはりあなたは、伝説の存在、伝説の哦性 ……いえ、軍神・烈哦性 でしたのね」
彼女の感心するような言葉に、俺はにこっと笑みを返す。
そして勢いよく教室のドアを開き、欸性 の首根っこを掴んで……
思いっきり外に、放り投げた。
走廊 の窓ガラスが割れた気がするが、気にしない。
「本壘打 !」
欸性 女子の掛け声と拍手と共に、講義室中から拍手が溢れる。
「いやぁ、いい比賽 だったね~~。ところでここで知り合ったのも何かの縁。君の名字 を聞いてもいいかな?」
「えぇ。良き比賽 でしたわ。わたくしは静 嵐 と申しますわ」
名は体をあらわすとはこのことか。まるで……暴風雨 の前の静けさのような迫力を感じさせる素晴らしい女人であった。
さて、俺は……。
「じゃ、静 嵐 。明天見 ~!」
「えぇ。明天見 !皇 葎 」
俺は一応大学では通称の皇 葎 。皇 はホアン武林のものたちの姓に充てる正式な漢字らしい。そして葎は当て字でつけたもの。
名字 は漢字で【阿那孔打 ・皇 ・葎巫焰 】で登録しておいた。
まぁそれはともかく、去回家 だもの。そしてこの中華風世界に何故かあり、玖 に持たされた端末の電源を入れ、映像電話を鳴らす。
「喂 、玖 。今大学終わったー。迎えに来てちょんぎるぞチンタマー」
俺の玖 と話しながら大学の門の前につけば、そこにサッと黒塗りの高級轎車 が停車し、ササッと運転手が降りてくる。
そして運転手が後部座席のドアを開けばその中から俺を呼ぶのは。
「さぁ、迎えに来たぞ。私の愛しいリュイ」
「うんっ、玖 」
俺は颯爽と車の座席に乗り込むと、早速玖 の首に腕を回し、そして自ら唇を奪うように重ねる。
ちゅぷ……っ。
「大学はどうだった?」
「うん、イキがってる欸性 に制裁を加えてかわいい哦性 を守るために俺、講師やるわ」
「ふむ、分かった。ではそのように手配しよう」
「うん……!」
烈哦性 は武闘集団でもあり、本来はとても母性が強い生き物なのだから。
「それと……俺に会えない時間、寂しかったのか?ココなんて既にビンビンだろ?」
決意を新たにした一方でささっと、確認したのはもちろん……。
その玖 の股間は、長衫 の長い布の下だと言うのに明らかに勃起したそれが分かり、掌でこねこねしてやれば、予想通りにカッチコチ。
「そんなに俺のナカに挿 れたいのか?」
「もちろんだ私の……」
「いや、違う。俺のだ」
「それも違わない」
玖 の微笑みにニタリと口に弧を描けば、再び唇に吸い付きながら押し倒すように座席に寝転がる。
そして運転手によって車のドアがパタンと閉じられれば、やがて車が緩やかに発車したのが分かった。
それじゃぁ悠々と楽しもうか。もちろんヤることと言ったら……決まってるじゃん……?
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