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第8話 欸性の虚しき抵抗。

――――――――そこは、高中校の会議室であった。 会議室には欸性(アルファ)たちが集まる。 その中心に座すのはもちろん、校長の皇甫(ホアンフー)玖狼(ジウラン)。 「それで……?」 「その……校長。あの……こう言っちゃぁ何ですが……。シメられたんですが。伴侶(つがい)発情期(ヒート)に駆け付けたら、校長の伴侶(つがい)烈哦性(オメガネス)にシメられたんですが」 校長皇甫(ホアンフー)玖狼(ジウラン)の前には、欸性(アルファ)の講師。他にも多くの欸性(アルファ)が集まる会議室である。 「しかもその後保健室の地板(ゆか)で目を覚ませば、愛しい伴侶(つがい)を抱く前に汚ないからとシャワー浴びてこいと乱暴に追い出されまして」 「それは当然だろう?汚ない身体で哦性(オメガ)を……伴侶(つがい)を抱く気か?」 「いや、それは烈哦性(オメガネス)に引き摺られたからで。いやむしろいきなりシメられたのが原因なんですけど」 欸性(アルファ)講師がそう告げると、すっくと立ち上がった欸性(アルファ)の女性が告げる。 「ではあなた、しっかりと名乗ったのかしら」 「え……?いや、その、伴侶(つがい)発情期(ヒート)です。そんな悠長なことは言ってられませんよ!」 「何を言いますか!哦性(オメガ)を庇護する番人に挨拶もないとは……!」 「え……?そこ?怒られるの俺ぇっ!?」 驚愕する欸性(アルファ)講師であるが。 「私ならまずは烈哦性(オメガネス)に挨拶に行くだろう。烈哦性(オメガネス)は礼節を大切にする」 「いや礼節を大切にと言いながら初対面でいきなりシメられましたが」 「礼節を重んじなければそれ相応の報復を受けるのは当たり前だ」 「……その、しかも伴侶(つがい)と分かったあとも、 花猫(ホァマオ)の家族が迎えにくるまでずっと目の前で行為見られて、指導されたんですけど!?」 「……ふむ……私のリュイに君の鶏鶏睾丸(チンタマ)を見せつけたと言うことか……?しかし鶏鶏睾丸(チンタマ)を捥ぐのも烈哦性(オメガネス)の本分……」 「そこじゃないっす、校長」 「そこ以外のどこなのです……!」 と、女性の欸性(アルファ)講師。 「いや、アンタは何が見たいねん……!!」 欸性(アルファ)講師は叫ぶものの、女性欸性(アルファ)講師の答えは決まっている。 「鶏鶏睾丸一切都摘下了(チンタマ一式全捥ぎ拳)」 「聞いた俺がバカでした」 「んで……?点数はどうだった」 「あぁ……何か最後に点数付けられましたけど……65点だって」 「ひっく。鶏鶏睾丸(チンタマ)捥がれちめぇ」 欸性(アルファ)の女性講師、容赦ない。 「いや、やめてくださいよ!そんなことになったら……なったら 花猫(ホァマオ)は……っ」 「ならばしっかりと点数をあげたまえ。追試までに」 と、玖狼(ジウラン)。 追試……つまりは次の発情期(ヒート)である。 「また点数付けられるんっすか……!?(ホアン) (リュイ)老師(せんせい)に!?」 「それもありだが、他の烈哦性(オメガネス)かもしれないな」 「見られること確定なんすかぁっ!!」 「我が皇甫(ホアンフー)一家は、哦性(オメガ)の積極的な保護も行っている。そのためには、……欸性(アルファ)の技量もしっかりとはからねば。それとも君はこのままでいいと思うのか?いや思うまい……。発情期(ヒート)が終わった後……伴侶(つがい)に一週間口利いてもらえないのだぞ」 「……何で知ってるんすか」 「それが君の65点だ」 「がはぁっ!!」 「よく精進しなさい。そしてちゃんと烈哦性(オメガネス)に口上を述べ、拱手をすることだ」 「そうは言われても……」 「皇甫(ホアンフー)自治区の欸性(アルファ)たるもの、それくらいは身につけねば」 哦性(オメガ)の保護や教育を積極的に行う皇甫(ホアンフー)自治区は特に哦性(オメガ)が多く、よその土地から偏見や迫害を逃れて移りすむ哦性(オメガ)も多い。 それは哦性(オメガ)の守護神烈哦性(オメガネス)の暮らす武林があるからなのだが。 残念ながら哦性(オメガ)がたくさんいることで、伴侶(つがい)哦性(オメガ)を探すならいざ知らず、哦性(オメガ)を捕まえて強引に伴侶(つがい)にしようと言うやからも出てくる。 もちろんそう言った行為が明るみに出れば処罰を受けるが、烈哦性(オメガネス)に見つかった時はただじゃぁ済まされない。 なので現地民欸性(アルファ)や外から来たとしてもまともな欸性(アルファ)烈哦性(オメガネス)への口上と拱手をしっかりとマスターするのだ。 「では、私が直々に手本を見せよう」 玖狼(ジウラン)が通信端末で呼び寄せたのは。 「(ジウ)~~!どしたの~~?会議もう終わったぁ~~?」 「ぎゃ――――――――――っ!!?」 この間自分をシメあげ、発情期(ヒート)の際の行為を採点した烈哦性(オメガネス)の登場に、欸性(アルファ)講師が絶叫する。 一度烈哦性(オメガネス)によって恐怖を味わわされた欸性(アルファ)と言うのは時に、烈哦性(オメガネス)に本能的な恐怖を抱くのだと言う。 「んぁ……?何この欸性(アルファ)、誰?」 リュイは(ジウ)の膝の上に脚を組敷くように対面に腰掛けると、突如鳴り響いた欸性(アルファ)の鳴き声に首を傾げながら告げた。 「ほら、ちゃんと口上と拱手をしないからだ。烈哦性(オメガネス)に全く覚えられてないぞ、君」 「そんなぁっ!?そうなのぉっ!?そうしないとシメた欸性(アルファ)の顔も覚えないの行為採点したくせにいぃぃっ!!」 悔しがる欸性(アルファ)講師であったが。 「欸性(アルファ)は……欸性(アルファ)って言うくくり的な?ほら、そこに老鼠(ネズミ)がいてもさ、老鼠(ネズミ)だぁ~~としか思わないじゃん?それと同じ。(ジウ)は違うけど」 「そこら辺の老鼠(ネズミ)と同じ扱いいぃっ!」 「烈哦性(オメガネス)にちゃんと口上拱手しない欸性(アルファ)など、そこら辺に生えたただの欸性(チンタマ)だ」 「もはやただの鶏鶏睾丸(チンタマ)生えたもん扱い!!鶏鶏睾丸(チンタマ)が主役ぅっ!!」 「そう言うことだ。強く逞しい烈哦性(オメガネス)にとって我ら欸性(アルファ)は下等生物鶏鶏睾丸(チンタマ)でしかないのだ」 「んー、まぁそっかも。でも(ジウ)はセックス上手いから上等生物欸性(アルファ)」 「それは光栄だな、リュイ」 「……校長セックス上手いんだ……」 「当然だろう?それでなくては、烈哦性(オメガネス)に挿入する権利などら与えられん」 「与えられるもんなんすかそれ」 「じゃぁてめぇは受けちゃんの……哦性(オメガ)ちゃんのナカを何だと思ってやがる……っ!」 「……ひぃうっ!?」 烈哦性(オメガネス)の迫力に、欸性(アルファ)講師が震える。 「まぁとにかく、まずは基本だな。リュイ、私の口上と拱手を受け取ってくれ」 「ん……?別にいいけど」 リュイが微笑むと、(ジウ)が拱手を組む。 「阿那孔打(アーナークォンダー)(ホアン)葎巫焰(リュイウーイェン)伴侶(つがい)欸性(アルファ)皇甫(ホアンフー)玖狼(ジウラン)と申す!!」 そう玖狼(ジウラン)が述べれば、リュイがそっと(ジウ)の顎に手を伸ばす。 「よく分かっていてイイコ、(ジウ)」 「もちろんだ、リュイ」 「……いや、あのー……?」 欸性(アルファ)講師は首を傾げるが。 「やらないとまた伴侶(つがい)の一歩手前でシメられるわよ」 欸性(アルファ)女性講師の言葉に、欸性(アルファ)講師が陥落する。 あんな、悲しい展開はもう嫌だ。あと行為観察されて採点されるぅっ! 欸性(アルファ)講師は泣く泣く膝をついて拱手を組む。 「(ルアン) 花猫(ホァマオ)伴侶(つがい)(スエン) 弓強(ゴンチャン)と申す……!!」 「……ふむ……ゴンちゃん(・・・)ね!80点以上採れれば覚えといてやらんでもない」 「いやそれでも覚えてくれないのおぉぉっ!!点数足りない~~!」 (スエン) 弓強(ゴンチャン)は絶叫するが、その後会議室に迎えに来た伴侶(つがい)(ルアン) 花猫(ホァマオ)伴侶(つがい)(スエン) 弓強(ゴンチャン)だと紹介すると……。 「うん、何となく覚えとく――――!」 「何この理不尽……!!」 しかしながらどうしようにも。 ――――――――これが烈哦性(オメガネス)と言う生態系のトップなのである。

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