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第9話 哦性の椅子
――――さて、本日俺は附属高中校 に来ています。だけど今回の授業は運動場ではなく、教室での座学だ。
それぞれの席について課本を開きながらいいこで待っているかわいい高中生 哦性 ちゃん。あぁ、やっぱりかわいいなぁ~~!真可愛っ!
そして今回の座学を受け持つのは……。
「さぁ、みんな!これから哦性 ちゃんのための保健体育の授業だ!保健体育は馬走 老師 が担当するが、哦性 ちゃん側からの意見も取り入れるため、阮 花猫 老師 、それから皇 葎 老師 も来てくれたぞ~~!」
保健体育を受け持つM貝性 老師 こと馬走 老師 である。
そして教壇に立つ馬走 老師 の横で椅子に腰掛ける阮 花猫 老師 と俺。
哦性 ちゃん向けの武術、護身術は俺担当だが、何せ保健体育の専門知識は馬走 老師 の方が持ち合わせている。保健体育……つまりは保健教育と武術の老師 なのだ。
だから馬走 老師 は単なるM役のほかにも、監修と言う面で心強い。あとMだから技もかけやすいし、腕もなまらなくてすむから何よりだよな!
因みに阮 花猫 老師 は本来、国語を受け持っている。しかし哦性 と言うことで、同じ哦性 ちゃんの力になれるよう……と言うことで哦性 の心得など護身術や保健体育の課にも招かれているのだ。
もし発情期 や発情期 間際で具合の悪い子がいたら対処できる。馬走 老師 も講習は受けていると言っても、哦性 同士の方が気持ちが楽だったりするのだ。もちろん俺がいる以上、哦性 ちゃんたちはその辺の欸性 の鶏鶏睾丸 全捥ぎしてでも守るうぅっ!
そして哦性 ちゃんたちから拍手が漏れる中。
「あの……俺の紹介は……ないんですか……?」
阮 花猫 老師 の側で縮こまっていたのは……確か……確か――――。
阮 花猫 老師 の伴侶 の欸性 で……。
「ゴンちゃん!」
「誰がゴンちゃんだぁっ!!」
「あ゛……?」
「びくんっ」
「老師 の伴侶 の森 弓強 老師 ですよー。普段は歴史を見ていますが、今回は欸性 側からの意見も取り入れるために、教室に来てくれたんですよ~~」
阮 花猫 老師 が紹介すれば、哦性 ちゃんたちもふむふむと頷く。
「でも……万が一発情期 が発生した時は……容赦なく追い出す!」
「ひぅ……っ!?」
ゴン……ゴンス……ゴンちゃんが怯むが。
「じ、自分は老師 ですから!生徒のためにも真っ先に教室を飛び出します!」
ほう……老師 であるがゆえ、生徒の哦性 ちゃんたちへのエチケットをわきまえているとは褒めてやらなくもない。
「もう、そうじゃなきゃお仕置きだよ?」
「ほ、花猫 っ」
阮 花猫 老師 の言葉に顔を赤くするゴンちゃん。んー……欸性 が熱っぽく……?
「雄激 起こした時は……その命、ないものと思え」
「い、命に代えてもおおぉぉぉこしましぇええぇんっ!!」
ふむ……分かっているようで何より。
「では早速本日のテーマですが……哦性 と欸性 の在り方について学んでいきましょう。ではまず皇 葎 老師 。哦性 にとって欸性 とは?」
「椅子です」
「ひいいぃっ!?」
ゴンちゃんが間の手を入れてくる。欸性 はよくあぁして間の手を入れるんだよな。この世界の欸性 ならではの習性である。
「欸性 は哦性 の項を狙う色情魔ではありますが」
「いや、そんなことは……」
「やだ……っ、 弓強 ったら」
「花猫 ――――っ!!?」
ゴンちゃんったら、アレンジ間の手?
でもま、絶えず伴侶 の名を叫ぶところは認めてやってもいい。
「しかし伴侶 になれば従順になるよう、しっかりと椅子として使ってやりましょう」
試合の後、よく爸 を椅子にして腰掛けていた:媽(マー)を思い出すなぁ。
「伴侶 になる前は、項を守るため、欸性 が自らの椅子になっても軽々しく座っては行けません。伴侶 ではない欸性 への座り方は……馬走 老師 」
「はい、皇 葎 老師 !」
馬走 老師 が俺の前に四つん這いになる。そしてその上に……堂々と脚を組んで腰掛ける――――っ!
うむ、これぞ烈哦性 直伝哦性 の作法!
「では次に森 弓強 老師 、欸性 にとって、哦性 とは……?」
馬走 老師 がゴンちゃんに向けて問う。
「……椅子に座ってくれる……ご主人さまです……っ、ぐすっ」
ゴンちゃんは阮 花猫 老師 の背もたれ付き椅子を務めながら告げた。うん、よく分かっている。
セックス点数は赤点だったけど、ゴンちゃんはこれから伸びる欸性 かもしれない……!
そしてその時、思いも寄らない人物が教室を訪れた。
哦性 ちゃんたちの黄色い歓声も無理はない。欸性 帥哥 だもんね。そこに囚われて哦性 ちゃんたちが狙われないように、烈哦性 たちは無粋な欸性 への去勢を欠かせないわけだが。玖 はちゃんとした欸性 だから没問題!※没問題=いわゆる無問題
「玖 !?何でここに……」
「校長としての視察かな。たまにこうして課を覗かせてもらうんだ」
「へぇ、そうなの?」
「それで……欸性 の在り方だったね」
「こ……校長っ」
ゴンちゃんが涙目で玖 を見る。ゴンちゃん、何で泣いてんの?阮 花猫 老師 の椅子になれてそんなに嬉しいってこと?それならよく教育されてて何よりである。
そして玖 は真っ直ぐこちらに歩いてくると、俺が先程まで座っていた椅子にスマートに腰掛ける。あんだけスマートに椅子に腰掛ける欸性 なんて、玖 の他はお義父さんと静 嵐 ちゃんくらいだろうなぁ。
「さて、リュイ。背もたれがなくては腰が痛くなるだろう?私がリュイの背もたれ付きの椅子になろう」
「校長おおおぉぉぉ~~~~~っ!!?」
ゴンちゃんが叫ぶ。
「貴様……伴侶 の椅子になりながら、伴侶 以外の者の名を呼ぶとはいい度胸だ」
阮 花猫 老師 の背もたれ椅子になっているゴンちゃんを睨む。
「ひいいいぃぃっ!すんませんっしたぁぁっ!俺は、ぼくは花猫 一筋ですうううぅぅっ!!」
「んもぅ…… 弓強 ったら」
阮 花猫 老師 の微笑に、ゴンちゃんが泣いて喜んでいる。
さて、俺も。
いっしょと。
玖 に腰掛ければ、俺の腰をすっと自分の腹に引き寄せ、俺の腹部に腕を回してくれる。うん、やっぱり玖 は爸と同じくいい椅子!思えばお義父さんも鶯媽 の快適椅子をこなしていた。:爸媽(ご両親)の教育の賜物だなぁ。
そしてさらには……俺の肩にずいっと顎を乗せてくる。
「ちょ……玖 ?」
「今日は哦性 と欸性 の在り方に対する課なのだろう?なら、しっかりと教え導かなくては。欸性 とは、こうして伴侶 になった哦性 を何重にも愛で、慈しみ、支え、共に生きていく生き物だ」
その玖 の言葉に、教室中から歓声が上がる。
そして玖 はさらに俺の髪をすきながら……。
「君たちも将来、君たちをどこまでも愛でてくれる、素敵な伴侶 を見つけられると信じているよ」
そう微笑み、もう教室中から嬉しい悲鳴の嵐である。
「……でも……ダメ欸性 だったら俺がぶっ飛ばすぞ」
「あぁ、遠慮なくやるといい」
じ、玖 ったらどこまで俺のことを応援し、愛で、信頼仕切って……っ。いや、だからこその伴侶 !俺としても今日の課はとても勉強になった。
教室中から拍手が沸き立つ。馬走 老師 も立ち上がり、阮 花猫 老師 も感嘆の拍手を贈ってくれる。
玖 の伴侶 として……誇らしいかも。
ふんふんっ。とっても上機嫌で馬走 老師 の講義の続きを聞いていれば……ふと。
ゴンちゃんが阮 花猫 老師 の椅子をしながら嬉し泣きしていた。
やはり欸性 としても、哦性 の椅子になれることは最高の誉れらしい。
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