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第10話 倶楽部活動
――――さーて、本日の俺は、大学におります。
「倶楽部 活動?」
「そうなんですの」
いつものように講義後静 嵐 ちゃんと食堂で午飯 を嗜んでいれば、ふと倶楽部活動の話になった。
こっちの世界の大学にも倶楽部活動はあるんだ。高中 にも部活動がある。とは言え哦性 ちゃんたちは体質が特殊だから欸性 もいるなかではなかなか自由に……とはいかないので、哦性 ちゃん同士で同好会を作ってることが多いかなぁ。武術を極めたい場合も哦性 ちゃん同士や貝性 の子たちとやっているらしく、欸性 厳禁だったりする。
第ニ 性と言うものがある以上、哦性 ちゃんたちにとって安全な環境が何より。でもそれで本当にやりたいことをできないってのは何だか悲しいことである。
それでもみんな、できる限りで楽しんでいるし、玖 もそう言う方針なので協力してくれる老師 も多いんだよね。
さて、大学での倶楽部活動はどのようなものなのだろうか?
「欸性 や哦性 で分かれていたりするのかな?」
「えぇ、多少は。欸性 だけの倶楽部に哦性 ひとり……と言うわけには行きませんもの。高中 と同じく哦性 や貝性 で集まって……と言う場合が多いようですの」
「まぁ……そうなるか」
伴侶 になっているならともかく、そうでないならばやっぱり危険も伴うのだ。
「えぇ。あと大学の倶楽部の場合は、欸性 、貝性 、哦性 がどの割合でいるかをしっかりと公表しますの」
「それは安心かも。哦性 としては、欸性 のいるいないは安全の判断基準にもなるからね」
「えぇ、たまに欸性 と関わりたいからと、欸性 だけの倶楽部に憧れる哦性 もいるらしいのですが」
「俺は鶏鶏睾丸 捥げるならちょっと考えるかも」
「リュイの基準はまたそれはそれで独特ですが。そう言った場合は入部を断るのも欸性 としてのエチケットですの。少々不条理には思えるのですが……それもお互いのためですわ」
さすがは静 嵐 ちゃん。もしも静 嵐 ちゃんが男人 だったら絶対哦性 ちゃんに大人気だよね!?
いや、今でも大人気なのに代わりはないけれど!そして貝性 の女の子たちからも不動の人気である。
「逆に哦性 や貝性 だらけの倶楽部にいきなり欸性 が飛び込めば白い目で見られますの」
「優しいね。俺ならぶっ飛ばすか鶏鶏睾丸 捥ぐけど」
「まぁ、さすがはリュイですわ」
「あっはは~~」
「でも……」
次の瞬間、静 嵐 ちゃんの顔に影がかかる。
「どしたの?静 嵐 ちゃん」
「最近、欸性 、貝性 、哦性 の比率を不正にいじったり、哦性 や貝性 の倶楽部に無理矢理押し入る不埒な欸性 が出るそうなんですの」
「何……っだって……っ」
それは、哦性 ちゃんたちの身が危ない!?
「朋友で集まる飲茶 の際に貝性 女子からそんな話を聞きましたのよ」
さすがは静 嵐 ちゃん!顔が広い!
「なので今日受ける講義が終わったら、見回りに行く予定ですの」
「じゃぁ俺も行くよ!玖 には帰り遅くなるの連絡しとくからさ」
「リュイならそう言うと思っていましたわ。では、わたくしはこの後一講義で終わるのですけど」
「なら、俺もだ」
「ではまた、ここで待ち合わせましょうか」
「うん!そうしよう!」
よし……今日も哦性 ちゃんたちは……俺が守るんだ……っ!!!
※※※
午後の講義後静 嵐 ちゃんと待ち合わせた俺は、準備万端である!
「あら、リュイ。その大きな斧はどうしましたの?」
「倶楽部の中には武器を使う倶楽部もあるって聞いたから」
てなわけで柄の長い両刃斧を背中にしょっている。
「あら……リュイなら武器もものともしなさそうですけれど」
「そうなんだけど、せっかく武器を使うなら俺も武器を使ってあげるのも優しさかなって」
「もっとすごいことになりそうですけれど……」
「まっかせて!哦性 ちゃんの敵は、俺がすべてなぎはらう!」
「あらまぁ、頼もしいですわね」
「うん!」
そんなわけで、倶楽部教室 が並ぶ大学構内の区画を早速見回りだ!
静 嵐 ちゃんが【査察】札を出すと、大体どこの倶楽部もどうぞと中の様子を見せてくれる。さすがに全員のメンバーがいるわけではないけれど、おかしなところがないかなど、調べていく。
「すごいね、静 嵐 ちゃん。さっきの査察札って何?」
「それはこの大学の自治組織が発行した札ですのよ。わたくし、そのメンバーですの。倶楽部活動については自治組織の管轄ですもの。もちろん拒否したら校長に報告が行って、大学運営側からの強制査察ですので、大体みなさん言うことを聞きますの」
「そっか、玖 がトップだから、きっとそう言うの許さないよね」
「えぇ。同じ欸性 として誇らしいですわ」
やっぱり玖 は同じ欸性 からみても憧れってことか。
伴侶 としても誇らしいなぁ。
そして調査は続く。
「リュイは烈哦性 ですので、鶏鶏睾丸 捥がれますわよ」
「ひぃっ!すんませんっしたぁぁっ!烈哦性 さまぁっ!!」
時折欸性 たちに敬礼をされるので敬礼で返してやってと……。
「あの、こんなの聞いてません!貝性 も哦性 もいる倶楽部だって……」
おや、なにやら騒ぎかな?
静 嵐 ちゃんと急いで声のした方向に走っていけば、そこには欸性 に手首を掴まれる、かわいいお顔の哦性 っちゃーんっ!
「おんどりゃぁっ!哦性 ちゃんに何してるううぅぅっ!鶏鶏睾丸 捥ぐぞゴルラァッ!!!」
急いで哦性 ちゃんの手首を握る欸性 の腕をへし折り、ラリアットをキメるっ!!
「ぐぉはぁっ!!」
欸性 が無残に崩れ落ちる。
ふんっ、造作もない。
「何事ですの!?あなた、大丈夫?誰か、貝性 の方がいれば、手を貸してくださいませ!」
静 嵐 ちゃんが叫べば、近くの倶楽部から救援が来て、貝性 の子たちが哦性 ちゃんを介抱してくれる。
「さて、あなた方。きっちり話を聞かせてもらいますわよ?話によっては鶏鶏睾丸 を捥がれるやもしれませんが、このまま逃げたり嘘をついたりしても……捥がれるかもしれませんわね」
『ひぃっ!?』
気絶した欸性 の仲間と思われる欸性 男子たちが固まった。
――――その後ピンチに陥っていた哦性 ちゃんによると、倶楽部は欸性 は少なく、貝性 や哦性 が多めと聞いていたので見学にいったら、欸性 だらけだったと言う。もう少し遅かったら野蛮な欸性 たちによってかわいい哦性 ちゃんが餌食になっていたかもしれない……危なかった。
因みに、悪質なことを考えた倶楽部の部長欸性 の鶏鶏睾丸 は捥いでおいた。おんなじことをすればお前らのも捥ぐとほかのメンバーにもキツく言い含めておいた。
「あの倶楽部には解散命令を、それから悪事に荷担した欸性 はしばらくはどこの倶楽部にも入部できません。新たに倶楽部を作るにしろ、入るにしろ、大学側の許可書がなければ、わたくしたち自治組織も許可を出しませんから、安心してくださいな」
「徹底的で安心だね」
「えぇ、大学側としても不祥事は控えたいですもの。ああいう悪い芽は摘んでおくに越したことはありませんわ」
「それもそうだね!」
ひとつ、悪い芽を無事に摘んだ俺たちのもとに女学生が駆け寄ってくる。静 嵐 ちゃんのファンの貝性 の子だろうか。
「静 嵐 さま大変です!部室に欸性 がやってきて、強引に入部させろと迫っているんです!」
「まぁ、何てこと!リュイ、行きますわよ!」
「もち!」
貝性 の子の案内で駆け付ければ、貝性 の子たちが困り果て、そして哦性 ちゃんと思われる男子たちも困惑している。
その視線の先には威張り散らす欸性 。
しかもアイツ……|規尺(じょうぎ)……つまりは武器を持ってやがる!俺は素早く背中の両刃斧を構え、駆け込んだ……っ!!
「ウオラァァァァ――――――ッ!!クソ欸性 よ滅びろおおぉぉっ!!」
斧で規尺を一刀両断すれば、続いて欸性 の喉元に両刃斧の刃を突き立てる。
「何をしている」
「……ひぃっ!!お……烈哦性 ……っ」
「分かっているのなら結構。武器を置いて、おとなしくしろ」
「は……い」
折れた規尺をポロリと落とし、膝から崩れ落ちる欸性 。
「あ……あの」
「何だ」
「鶏鶏睾丸 だけは……も……捥ぐのは……っ」
「それを決めるのはてめぇじゃねぇっ!烈哦性 だ!!」
「ひいぃぃっ!ごめんなさぁいっ!」
「ではみなさんご一緒に」
静 嵐 ちゃんがパチンと両手を合わせ。
『鶏鶏睾丸一切都摘下了 』
「はぁ――――――――――っ!!!」
俺の気合いの入った掛け声と共に……。
「ギャアァァァァァッ」
欸性 の哀れな悲鳴がこだました。
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