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正しい休日の過ごし方 後編 ※
午後3時。
「ナナ、お腹空かない?」
ベッドのヘッドボードに寄りかかりながら小説を読んでいた修作は、切りのいいことろで本を閉じて七海に声をかける。先程のが余程身体に堪えたのだろうか、声をかけても起きる気配のない七海に心配そうに目線を送る。‥が、七海の栗色の髪を優しく撫でると修作の脳裏につい数時間前の出来事が過ぎった。
(‥やば、興奮してきた‥)
瞼に軽くキスを落とす。相変わらず起きる気配のない七海に多少の罪悪感を抱きつつ、修作は触れる唇を徐々に敏感な部分へと移していった。
胸の突起に舌を這わすと七海の身体が小さく跳ねる。優しく吸って、時々軽く歯を立てて刺激していると、無意識ながら徐々に七海の呼吸が乱れていくようで、目を覚ますかもしれないという緊張感から妙にドキドキした。
(別に起きてもいいんだけど)
ふふっと小さく笑って、修作の唇は更に下へとおりていく。
平常時のモノを口に含むのは何だか不思議な感じだ。いつもとは違う感覚に少し戸惑いながらも、修作は口に広がる七海の味に酔う。
「‥ん‥あっ‥な、にしてんの‥?!」
下半身に感じる違和感で深い眠りから覚めた七海。自分の股間に顔を埋めている恋人の姿に軽くパニックを起こして固まっていると、顔を上げた修作と目が合った。
「うん、お腹空いたから」
「は?」
「食べてた」
「‥は?ちょっと意味分かんな‥っーー」
ボケなのか素なのか分からないコメントを真顔で言われたかと思うと、再び自身を咥えられ、伝わってくる口腔内の熱に七海は思わず息を飲んだ。
「や‥っ、そこ‥汚い、から‥」
先程のままで抵抗があり、緑色のくせっ毛を乱暴に引っ張るが、一向にやめる気のない修作に、七海は諦めてそのまま身体を預ける。ピチャピチャと響く湿っぽい音と徐々に乱れていく自分の呼吸が静かな部屋に反響して、すぐに欲情した。拒んでいた手はいつしか修作の頭を抱え込むようにして自身に押し付けていて、まるでもっとしてほしいとねだるようだった。
「あっ‥も、でる‥っ」
「いいよ、そのまま出して」
強めに吸われ、七海は修作に言われるがまま口腔内へ欲を放つ。その快感に目が眩むようだ。
「修くん‥」
「ん‥?」
「お腹‥空いた‥」
あまりの空腹に言葉通り目が眩み、七海はそのままベッドに沈み込むと、うーん‥と情けない声を上げた。
「‥え、俺のいる?」
「いらないっ!」
‥一応ツッコミは入れるが、かなり限界だ。
そういえば自分も腹減ってたんだっけ‥と思うか思わないかのタイミングで腹の虫が盛大な音を立て、修作はいつもの少し困ったような笑顔を七海に向けた。
「‥ガスト行こっか」
「‥うん」
本日2度目のシャワーを浴びて、二人仲良く行きつけになっている近所のファミレスに向かう。さすがに昨日の夕飯から何も口にしていないと本気でふらつくなぁ。‥そんなことを笑い合って話す瞬間もまた愛おしい。
オムライスとサバの味噌煮定食と、そして山盛りのポテトフライ。いつものメニューに今日はデザートも付けて、本日初めての食事をとる午後4時52分。
‥さて。
食欲が満たされたら、次はもちろん性欲だ。
アパートにつくと、ドアを乱暴に閉めてまた二人だけの世界を作りあげる。玄関先で抱き合って、何度もキスをして‥靴のまま部屋に上がりそうになるのを僅かな理性で必死に抑え、ああ、隣が留守で本当に良かった‥なんて思いながら君に溺れていく。
「ねぇコレ、減るの早くない‥??」
「‥てかゴムもうないんだけど‥」
半分脱ぎかけの状態でお互い必需品‥の空き箱を手に持って顔を見合わせると、どちらからともなく笑いが起きる。
「マツキヨ行く?」
「いく!」
楽しい映画を見るわけでも、美味しいご馳走を食べるわけでもない。ただひたすら、お互いの体温を感じる日。
たまにはそんな日があってもいいと思うんだ。
終わり
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