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家族になろう(隣人を愛せよ。)

「がおーっ がおーっ」 ライオンが泣いています。 「がおーっ がおぉん。おとうさん おかあさん」 もりの なかで ライオンくんは かなしくて かなしくて ずっとなきつづけていました。 そこに いっぴきのウサギさんが ちかづいてきました。 「ねえ ねえ ライオンくん どうしてないてるの?」 ライオンは がおおんとなきながら いいました。 「ちょうちょをおいかけていたら ガケからおちちゃったんだ。かえれなくなっちやったんだ。」 「それはたいへんだ。」 ウサギさんはいいました。 「なかないで。ライオンくんのおとうさんも おかあさんも ライオンくんをさがしているかもしれないよ。」 ウサギさんは ないているライオンくんの てをひいて ライオンくんのかぞくをさがしに もりのなかを あるいて いきました。 すると もりの こみちのむこうから、ちいさなこえが きこえてきました。 「どうしたの?ないてたこえがきこえたよ。」 ふりむくと そこには ちいさな リスさんが いました。 「ライオンくんが おうちに かえれなくなっちゃったんだ。」 ウサギさんが いうとリスさんは ぽんとてをたたきました。 「じゃあ わたしも いっしょにさがすよ!」 さんびきは いっしょに もりをあるきました。 たかいやまをこえて ながいかわをわたって 「おーい!ライオンくんのおとうさん!おかあさん!」 と さけびました。 けれど こたえは かえってきません。 そのときです。ふかいもりの かげから どすん どすんと おおきな あしおとが きこえました。 「おやおや、なにをさがしているんだい?」 でてきたのは、おおきな クマさんでした。 「ライオンくんの かぞくを さがしているの。」 リスさんが こたえると クマさんは やさしく うなずきました。 「それなら ぼくも てつだおう。」 クマさんは おおきなこえで さけびました。 「ライオンくんの おとうさーん!おかあさーん!」 でも やっぱり こたえは ありません。 ライオンくんは また ぽろぽろと なみだをこぼしました。 そのとき うさぎさんが そっと いいました。 「ねえ ライオンくん。おとうさんと おかあさんは きっと どこかで いまも ライオンくんを おもってる。 でもね わたしたちも ライオンくんのことが だいすきだよ。」 リスさんも クマさんも うなずきました。 「だから、もし よかったら―― これからは、わたしたちと いっしょに くらそうよ。」 ライオンくんは びっくりして うさぎさんをみました。 「いっしょに……くらす?」 「うん。いっしょに ごはんをたべて あそんで ねむって。みんなで いっしょに すごすの。」 ライオンくんは もう ないていませんでした。 「うん! ぼく みんなと いっしょに くらしたい!」 そのひ もりのなかに あたらしい かぞくが うまれました。 うさぎさんと リスさんと クマさん、 そして ライオンくん。 もりのなかの おおきな きのしたが みんなで いっしょに くらす おうちです。 あたらしいかぞくは なかよく しあわせに くらしました。 おしまい

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