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プロローグ
晴天な空、輝かしいばかりの艶髪をしている人を見た。
仄かに漂ってきた匂いは、桜のかほりでした。
思わず、振り返った時、過去の想い人を思い出す。
何時だったか、来世で…。
ー…巡り逢えたら。
その時は、願いが叶う様に、白桜の木の下で、お逢瀬しようと、約束していた気がする。
うっすらと、残る記憶の中、僕は、髪から漂う匂いを忘れない。
あれは、桜の匂い。
昔に、嗅いだ、甘いかほりだ。
前世で叶わなかった想いが、今、叶う事を願います。
どうか、神の僕が、神頼みしている事を、笑わないで下さい。
淡い桃色の花弁が、散る社の中、男性は、密かに、願っていた。
あの時は、女性である前に、身分が物言う時代だった為に、口にはしなかったが、確かに、恋をしていた。
それは、互いに、惹かれ合っての恋愛だ。
幸せな日々を過ごせたのは、間違いない。
月夜の光にあてられて、僕は、自分が舞っていた姿が、情景に浮かんだ。
綺麗な白桜の襲を、着けながら、夕映えを、バッグに、淡い菫色の扇子を、持ちながら舞う姿は、神々しく、輝かしいばかりの一シーンだった。
どうしてか解らないけど…。
神楽の舞台が、嫌いだったのを覚えている。
ほんのばかり…。
良い、思い出とは言えないかも知れない。
自尊心が、ズタズタになりそうだった。
何時も、劣等感が勝っていたかも知れない。
『こんな、僕の舞いは』なんて、自己嫌悪に、陥っていた。
だけど、白い雪が、降る中、美しい桜の花弁を、見た記憶があるのは、来世でなんだろう。
それは、美しく、儚く、散っていくよりも、勇敢で、堂々とした桜の木そのものかも知れない。
雪、降るとや、桜の花も、美しく、舞うのかな。
ー…そう、貴方が。
見立てた詩に、花添えられれば…。
僕は、幸せでございます。
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