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それも、仕方がない事なのだ。 あの、男は、ハードルが高く、女性に求めるのは。 『立てば、芍薬、座れば、牡丹、歩く姿は、百合の花』と、言った、日本特有の女性。正に、夫の後ろを、三歩引いて歩く、おしとやかな感じが良いのだろう。 今の時代なら、探せば、居るだろうが、未来に、そいゆう女性を求めた時に、現れるのかも不明。 その前に、降臨してくるのかしら…。 咲春は、理想の高い夫の事を、考えただけで、溜め息が出る。 大和撫子とは、日本古来の美人に使う言葉だ。彼が、求める女性も、美人を例えている。 芍薬は、しなやかさだし、牡丹は、枝分かれしている所から、座っている様に見えるし、百合の花は、後ろ姿を、表している。 断然、彼女には、表の部分が、そう、見えたから結婚に、至ったんじゃないかと、思った。 本音は、聞かずじまいだが、多分、亭主関白を目指しているのだろうか。それとも、かかあ天下という『縁の下の力持ち』を、求めいるのだろうか。 益々、不思議な男だ。 「夫を、支えるのが…妻の務め…」 ー…理解はしている。 けれど、あの、男、百地 孟山(ももち たけやま)は、それすら、覆していく奴だ。 咲春は、憎かめしく、池に、泳ぐ鯉を、睨め付けた。 この、池に居る鯉達は、貴族ならではの見栄だ。 錦鯉は、模様が命。 「どの道、料理に使われるなら、尊い命を、大事に使わなければね…。其処で、泳いでいるカラフルな錦鯉は、何百両と、付くけど、君達は、料理にされて、貴族や、王族の口に、入るのよ…」 慣れ果てた姿を、想像した。 愛でられる物と…。 料理にされる物の運命。 鯉は、滋養強壮に、良いと、言うし。 跡継ぎを、作らないといけない者は、喜んで、食べるだろう。 それくらいの価値しか持たないのに、存在は、主役そのものだ。

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