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私は、銀色の小さな形をした物を手に取った。 間は、空洞になっていて、遠くが見える。 近代文明と言うのかしら…。 本当、形が、花だったり、小動物だったりするのね。 一方、練り菓子は、職人が一個一個、ヘラで形を作っていくから少し違いがあるわ。 「ねぇ、此方は、所謂」 「下界とは読み方が違いがあり過ぎますわ。でも、人間の魂が、聖界まで辿り着くのも難しいわね。余程の力が無い限りは、魂は、消滅してしまうか、若しくは、転生できないわね…」 「そんな、非現実的な事があるのかしら」 「あるわよ。ただ、公になっていないだけ。貴女が、来たのは…偶然かしら。それとも導きかしら。私は、其処に、興味が唆られるわ…」 左手の人差し指で、心臓を指された。 これが、偶然じゃないと言いたげ。 -…じゃあ。 導き? 私にも、解らない事だわ。 魂の事は、神にしか解らない事だと自負しているし、元々は、神の家系だったのは母だったから私的に考えれば、流れているんだろう。 「少し、家系が神に関係していただけだから私には解らないわ」 「ふふふ、少し、悪戯し過ぎたわ…」 やはり、彼女の考えが解らない。 何を確かめたいのかしら。 私が、しかめっ面していると、テーブルにコトっと、カップを置かれた。 中を覗くと、茶色い液体が入っていて、香りが鼻に漂ってくる。 そして、小さな入れ物を渡された。 「これは」 「砂糖よ。少しだけ混ぜてあげると、ほんのり甘くなるわ…」 「さ、砂糖!私の住んでいた場所では、砂糖は、貴重なのよ」 思わず、驚いてしまった。 「咲春の国では、砂糖は、重宝されていたわね。貴族や王族しか食べられない物。だけど…此処では、普通よ…」 そうかも知れないけど、この、和紅茶に混ぜる為だけに、用意したとなれば。

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