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第4話 冷遇婿ライフ終了1★
それから、ローレンスは心なしか俺に優しくなった。
元々冷たくされていたわけじゃないけど、それでもローレンスから用もなく話しかけられることはなかったので、その違いというか。
休日は別々に過ごしていたのが、一緒に過ごす時間も多くなった。
「今日も朝早くから収穫か」
家の前の菜園スペースでトマトを収穫していたところ、声をかけてきたのはローレンスだ。
俺は収穫する手を止めて、柔らかく笑った。
「家庭菜園の野菜は朝一番に収穫するのが、新鮮でおいしいんですよ」
そう答えて、俺は収穫する手を再開する。手際よく収穫していく俺の姿を見て、ローレンスは感心したような顔をした。
「ほう、慣れているな」
「趣味でしたから。ローレンス様もやってみますか?」
「いいのか?」
「もちろんです」
ローレンスは俺の隣にしゃがみ込んで、実っているトマトに手を伸ばす。手でトマトの実を支えながら、ぱちん、とハサミで軸を切る。おっ、うまいじゃん。
無言で熟したトマトを収穫していくローレンスだったけど、
「……あなたはまだ陛下のことが好きなのか」
と、唐突に聞いてきたものだから、俺は咄嗟に答えられなかった。
えーっと、なんて答えたらいいんだろう。正直に答えたら、別にどうでもいいの一言に尽きるけど……あれだけ国王陛下のことが好きだった『リアム・アーノルド』が、ほんの二ヶ月半でもう恋心を失くした、って設定にするのは変だよな……?
そう考えた俺は、わざとらしいくらい目を伏せた。
「正直に申し上げますと……まだ陛下をお慕いする心は残っています」
「そうか。そう、だよな」
ぱちん。
ハサミで軸を切り取られたトマトの実が、そっと俺に渡された。もう飽きたのか、ローレンスは立ち上がって家の中へ戻っていってしまった。
どうしたんだろ。なんとなく、浮かない表情をしていたな。
っていうか、急に変なことを聞く奴だよ。
この時は少し不思議に思ったけど、朝食の時はいつも通りだったから、まぁいいかと俺は気にしないことにした。
朝食を食べた後は自室に戻って、さて今日は何をしようかなぁ、と考えていたところに。
「リアム。ちょっといいか」
ローレンスが顔を出した。俺は目をぱちくりさせてから、にこりと微笑む。
「ローレンス様。はい、なんでしょう」
寝台の端に端座位していた俺の隣に、ローレンスも腰を下ろす。わざわざ自室にまできて話そうとするなんて珍しいな、なんの用だろう、と考える俺へ、――なんと、ローレンスはキスをしてきた。
驚いた拍子に半開きになった口に舌が差し入れられる。咄嗟に舌を引っ込めようとしたが、ローレンスの舌は執拗に追いかけてきて、あっさり捕まった。
「ん…ぁ……」
舌をちゅっと吸われると、甘い痺れに襲われて喘ぎ声がもれた。わわっ、なんてはしたない声を出してるんだよ、俺!
っていうか、俺、なんでこいつにディープキスされてんの!?
突き飛ばそうにも、腕力ではローレンスに敵わない。結局、大した抵抗もできずに口内を貪られて、そのまま寝台に押し倒された。
「ちょ、ちょっと、待っ――」
お前、何をする気だよ! 俺に冷遇宣言したじゃん! 俺のことは抱かないんじゃなかったのか!?
頼むから止まってくれ、という俺の切なる願いは天に届くことはなく。あれよあれよのうちに衣服を脱がされて、貧相な裸体を披露することになった。
そして、恥ずかしいことにディープキスで反応しつつある花芯を撫でられると……うっ、気持ちいい。段々と硬く持ち上がっていくのが分かる。
――って、そうじゃなくて!
「ロ、ローレンス様、一体どうされたんです」
ようやく自由に声が出せるようになったので、戸惑いながらも問いかけると。
「自分の夫が他の男に想いを寄せているというのは、気分が悪い」
「え? ……あぁっ」
乳首を吸われてまた甘い声が出てしまった。同時に電流が流れたような痺れが下半身を直撃して、花芯がますます反応してしまう。
「俺がその想いを忘れさせる。好きなだけ感じろ」
一方で乳首を舐められ、もう一方で花芯を上下に扱かれ。乳首と花芯への同時攻めに、俺は快楽で頭が真っ白になった。
うわっ、こんなの反則だろ。気持ちよくないはずが、ない。
「あっ……んんっ!」
容赦ない攻めは、着実に俺を昂らせていく。花芯の鈴口からは先走りの樹液がだらだらと垂れて、上下に扱かれるたびにグチュグチュと水音が室内に響く。
快楽を与える甘い刺激に、俺は根を上げた。
「も、ダメ……で、出る」
「出せ」
「そんなの、や……――あぁああああ!」
吐精を促すように強く上下に扱かれ、我慢できずにイってしまった。
肩で息をする俺の双丘へと、ローレンスの指が這う。掻き分け、奥にある菊穴に俺が吐き出した蜜液を塗りたくって、指を一本差し入れてきた。
痛みはない。ただ、なんだか変な感じだ。本来なら排泄するところに異物が侵入してきているからだろう。
二本、三本、と本数を増やされても、やはり痛みはなく。円を描くようにぐるぐると掻き回して丹念にほぐしたところで、ローレンスはやっと指を引き抜いた。
「そろそろ、いいか」
ローレンスまで衣服を脱ぎ始めたのを見て、俺の顔から血の気が引いた。本気で挿入するつもりだと、このままでは犯されると、肌で感じたからだ。
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