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最終話 再会2★
「今日は緊張したよな。結婚式の時なんて、緊張しすぎて神父様のお話がろくに頭に入ってこなかったよ」
「そうだな。俺もだ」
その日の夜。ハヴィシオンの新たな国王『ルーファス』の正婿となった俺があてがわれた白銀宮にて、俺たちはそんな雑談を交わしていた。
結婚式とか披露宴って、きっと楽しい思い出になるんだろうなって思っていたんだけど……実際はお義父さんが言っていた通り楽しむ余裕なんてなく、なんか忙しなく終わってしまった感じ。みんな、こういうものなのかなぁ? それとも、俺だけ?
ちなみに、だけど。今回の結婚式と披露宴は、国王と正婿が行うものとしては慎ましやかなものだった。というのも、長く圧政に苦しんできた民衆への配慮として、盛大な結婚式や披露宴を挙げるのは避けたんだ。
かといって、他国の王族を娶っておいて結婚式や披露宴をしないというのもよろしくないということで、折衷案として今回のような慎ましやかものになったというわけ。まぁ、俺からしたら十分、盛大な結婚式と披露宴だったんだけど。
「あっという間だったけど、いい式にできたかな」
「ああ。きっとそうなったと思う。俺もあまり記憶が残っていないが……これでようやく、ノゾムはおおやけにも俺の正婿だな」
「うん」
寝台の端に端座位している俺たちは、お互いに見つめ合ってキスをした。どちらからともなく、舌を絡めて快楽を貪る。舌をちゅっと吸われると、甘い痺れが走った。
「…ぁ……ロー、レンス……」
俺はゆっくりと寝台に押し倒されて、衣服を脱がされていく。俺を愛撫するローレンスの手つきは、壊れ物を扱うかのように繊細で優しくて、俺は感じさせられた。
「……ふっ、あぁっ……」
勃ち起がった中心を上下に扱かれると、たまらなく気持ちいい。すぐに鈴口から透明な樹液が溢れ出してきて、ローレンスはそれを指で掬った。そのまま、双丘を割り開いて最奥の秘処に手を伸ばして、掬った樹液を塗りたくる。
でも、そんなことをしなくてもローレンスからの愛撫で、後孔はもうとろとろに蕩けているよ。身体が熱い。早く中にローレンスのモノがほしくてたまらない。
俺は四つん這いになって、お尻をローレンスに向けた。
「ローレンス……きて……」
自ら誘う淫靡な俺に、ローレンスは息を呑んだ。
「だが、もっとほぐした方が……」
「大丈夫だから。早くローレンスがほしいよ」
「そう、か。分かった」
ローレンスも衣服を脱ぎ捨てた。いつ見ても、惚れ惚れする肉体美だ。そして、天を衝くような雄芯も、俺のモノよりずっと逞しい。
「なら、挿れるぞ」
立派な雄芯が、背後からぐっと押し付けられた。でも、とろとろに蕩けている俺の後孔は、ゆっくりと押し入ってくるローレンスを、包み込むように難なく受け入れた。
中に馴染ませてから、ローレンスは抽挿を開始する。
「あ、あ、あぁっ」
腰を打ちつけられるたびに、最奥のしこりを突かれるたびに、頭に火花が散る。腰をがっちりと掴まれているため自分では動けないので、俺は一方的に与えられる快楽に酔いしれた。
もっと、中を擦って。
もっと、中を抉って。
喘ぎ声とともにこぼれる俺の注文に応えるように、ローレンスの動きは激しくなっていく。
「あぁ……気持ちいい、よ…ぉ……」
あまりにも気持ちよすぎて、もうどうにかなってしまいそうだ。
甘えるように嬌声を上げる俺の首筋に、ローレンスが背後からキスを落とした。そのやんわりとした刺激でさえ、電流が走ったような衝撃に襲われる。
しばらく後背位で性行為を続けたけど、途中から正常位に変えた。俺はローレンスの首にしがみついて、何度も、何度も、ローレンスの名前を呼んだ。
「ローレンス……! ローレンス……!」
「なんだ」
「愛してる……愛してるよ」
快楽でぼんやりとしていく意識の中で想いを伝えると、ローレンスはふっと優しげに笑みをこぼした。
「俺も愛しているよ、ノゾム」
「うん…っ……」
その後は、言葉なんて不要だった。ただただ、お互いを求め合い、獣のように交わった。
そして。
「くっ……」
俺の中でどくりとローレンスのモノが膨張する。達するのだと俺は察した。
「いいよ……全部、俺の中に出して……、――あぁああああ!」
抉るように一気に突き上げられて、俺は花芯から白濁した蜜液を噴き出した。同時にローレンスの肉棒を俺の柔壁がきつく締め付け、熱い蜜液が肉奥で弾ける。
ほとんど同時に果てた俺たちは、弾む息を整えながら触れ合うだけのキスをした。
「もう一生、あなたを離さないから」
ぎゅっと、強く抱き締められる。その心地のいい温もりに俺は身を委ねた。
――(かつて)断罪された悪役側婿ですが、(元)氷狼の騎士様に溺愛されています。
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