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第11話 後宮まったり生活

―――IN 後宮 「あぁっ、アイルたんってどんなものが好きなのかな~」 原作ではアイルたんのそう言う系の知識は一切出てこなかった。だからこそ気になるのだ。 今夜はビフテキにした。それとサラダ。あと米があったので炊いた。 「アイルたんへの愛夫(あいさい)料理~っ!」 じゃ~んっ。 「お前何言ってんの?」 そんな目で見んなルークゥッ!!あの呪文となえっぞルギウスルイツァリオン!! 「やめろ、心の中でも唱えるな耳ざわりだ」 あ、マジで? 「イイコト聞いちゃった♪」 「お前、本当は性格悪いだろ」 「え?何のことっ?ビフテキあげないぞっ☆」 「いや、寄越せ」 そんなこんなでまさかの側近とふたりの寂しいディナー。いや、祖国ではいつもひとりで食事。たまに王室で集まって食事だったけども。はっきり言って故母上も来てたから乗り気にはならなかったんだよな。ルイスとのバチバチがすごくて、ゼンは故母上を恐がって食が細くなっていたし。それに周りにたくさん王宮勤めの使用人はいたから。2人っきりというのは新鮮だ。 そう言えば、ゼン向けの料理を故母上が手を加えて粗末にしてた事件があったな。ルイスがそれに気が付いて料理長に噛みついていたけど。故母上の指示なのだから従わざるを得ない。しかも故母上はゼンを人質に取って父王に告げ口させないようにするような性悪だ。 普段はルイスと競い合う以外は関りがなかったのだが。故母上が恐くて直せないのなら俺の分を減らしてそちらに回せと言ったことがあったっけ。その後やっぱりお腹が空いたので厨房に残り物を漁りに行ったらさすがに父上にバレて俺だけではなく王子全員の食事内容が見直されて故母上の悪巧みは暫くなりを潜めた。 「ね、ルーク。アイルたんは何が好みだと思う?」 「は?知らん。あぁ、このビフテキは旨いな」 ルークは美食家である。旨いものを好む。ぐーたらだが体型はほっそりしており腹筋割れてて羨ましい。俺だって少しは。いや、俺小柄で細身だけど筋肉つきにくい体質だった。 「ちょっと探ってきてくれない?」 「えぇ」 そんな嫌がる顔すんなって。 「アイルたんのメニュー、調べてきて。その中で食べたいのがあったら調理してやる」 「―――なら、行こう」 ほら、食いついたぁ―――っ! よし、無事にルークを働かせることができそうだ。 ふふふ、アイルたんに何を食べさせてあげられるかなぁ~~~っ♪ ―――3日後 「取り敢えず、メニュー3日分だな」 早速3日分ではあるものの、ルークがメニューを持ってきてくれた。 ――― 1日目 朝:パンとスープ少々 昼:干し肉 夜:食べてない 2日目 朝:パンとコーンポタージュ 昼:バランス栄養食 夜:会食(ビフテキ) 3日目 朝:パンとリンゴ丸かじり 昼:なし 夜:干し肉とインスタントスープ ――― 「いや、なにこれ」 皇帝の食べる料理だとは思えないんだけど。 「食に対する興味がないのではないか?俺にはとても信じられん」 まぁ、お前食べることについては拘るからな。グルメなんだよな。 「今日の夕餉はチーズマカロニグラタンがいいな」 「はいはーい」 何故か主人の俺が食事を作っている。んなっ、何でっ!! あっ、そうだ!アイルたんにおすそ分けしようかなっ♪ 早速王弟宛てに手紙を出したのだが。 ―兄上には必要ない― とのお返事をいただいてしまった。 「ルーク、これからアイルたんをストーキングしてくれっ!」 「ん?なら報酬に弁当を持たせてくれ」 ほんっとこのグルメ側近め。でも食べやすいいろいろ混ぜ込みおにぎりを持たせようと思った。

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