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第13話 グラディウス帝国皇帝・アイル
「お前は……おいしい」
「んっ、アイルたんもマジ尊しっ」
俺はアイルたんにちゅぷちゅぷとあちこちをむしゃぶられていた。唇から始まり、舌、そして頬、耳たぶ。首筋、更には鎖骨までっ!あぁっ、どんだけ俺をはだけさせるつもり!?てか、どこまで行くのアイルったあぁんっ!!
「お前は、その聖魔法の魔力を盾に俺の元に嫁いだのだろう?」
「そ、それもあるけど。一番はアイルたんと添い遂げるためです!!」
「は」
アイルたんが固まっている。
「つまり、俺は身も心も聖魔力も全てアイルたんに捧げたって惜しくはないっ!そう言うことだ!」
「はぁ」
「あ、です」
「今更取り繕っても無駄だ。何が目的だ。そうまでして聖魔力を盾に後宮入りまでした望みは何だ」
「えっ」
俺の、望み?
「あのっ、アイルたんに“ティル”って呼んで欲しい」
俺のお気に入りの愛称である。
「てぃ、る?」
「うんっ!俺の愛称!」
「それ、だけか」
「え?それ以上に何かある?」
「お前は、本当に。俺がお前を食うと言ってもか」
「それは食欲的な意味で?」
「肉欲的な意味でだ。俺は聖魔力を必要としている。お前が知っているようにな」
どうやら、皇弟ブラコンラートが得た情報はしっかりとアイルたんにも行っているようである。
「聖魔力を最も効率的に摂取するにはどうすればいいと思う」
「ふぇ?う~ん。俺がマックスで聖魔力を放つ、とか?」
もちろんアイルたんのためならば、世界滅亡を防ぐために死なない程度にその聖魔力を捧げるつもりだ。
「ナカに、挿れればいい」
ふえぇ??
「お前のナカに、俺のを挿れればいい」
アイルたんが妖艶ににやぁっとほくそ笑む。
何とっ!いきなりアイルたんに掘削されると!?
「あの、解してないんだけど」
一応、王族である故に閨教育は終えている。俺は実践はしていないがたっぷり教わっている。将来のために未亡人のレッスン、そして高級男娼からのレッスン。でも、俺は純潔である。挿れてないし、挿れられていない。それは俺が聖魔法を持っているからである。神聖な魔力と信じられている俺の聖魔力は、来たるべきその時のために穢すわけにはいかないのだと、実戦は行われなかったのだ。
だが、男同士でやる場合の講義はしっかりと受けている。その場合、解さないといけないのだ。なお、俺はどちらかと言えば受け派。アイルたんは俺を掘るつもりらしいし。相性もぴったりじゃんっ!!
「解してから、準備、するから。今日解して、次の夜に」
「無理だ」
「へ?」
「その甘美な味を俺に味わわせておいて、皇帝たる俺に我慢をしろと?」
ドキッ。肉欲でギラつくアイルたんの鮮烈な赤い瞳に、思わずピクリと震える。
「あの、お願いだから。や、優しくっ」
「さぁ、どうだか。お前の味は、おいしすぎる。俺は、我慢ができなくなりそうだ」
ひぇー。ど、どどどどないしよ。でも一応聖魔法使い。魔力が尽きない限りは体内自動修復が可能なわけだが。
「な、なるべくで、いいっす」
なんで、や、優しくしてぇ~~~。
「ふっ、お前、なかなかかわいいな。ティル」
ドキッ。
愛称を呼ばれて思わず感じてしまうのは、俺は既にアイルたんの虜と言うことか。いや、既にアイルたん以外見えていないと思うけど!ここが暗闇ってこともあって。
「お前が欲しい」
「あの、俺は既にアイルたんの妃なんだから。アイルたんのものでしょ?その、アイルたんの好きに、して?や、優しくはして欲しいけど、なるべく」
俺の聖魔力は、アイルたんのために捧げたい。
何せ、前世から恋い慕っていたアイルたんを救うためなのだ。決してアイルたんを闇落ちさせたくない。アイルたんを死なせたくないし、俺も死ぬのは嫌だ。
そして俺とアイルたんの愛が実ればきっと世界滅亡の危機も救えるのだ。ルイスもラピスも心に癒えぬ傷を負うことはない。父王も殺されることはない。賢王で国民に広く慕われている王だ。優秀な宰相閣下もいるし、そして王妃のスザナさまも助けた。
これからは父王とスザナさまと夫婦仲良くカレイド王国を支えていってくれるはず。
だから俺も、父王とスザナさまと同じように、アイルたんにこの身を捧げてグラディウス帝国を支えていけるだろうか。
俺はアイルたんの熱い眼差しをとろんと見上げながら、うっすらとそう思った。
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