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第33話 違う意味でまだ酔ってる
柔らかくて甘い口づけ。そんな甘美な味に酔いしれていれば。
「ティル」
「あ、アイル、たん?」
いつものようにアイルたんがその赤く輝く瞳を向けてくる。しかし何故かむすっとしている?
「ど、どうしたの?」
―――俺、何かやらかしたっけ?あぁ、やらかしたからベッドにいるんだ。
「あの、お酒は控えます」
うん、お酒は強いはずなのだけど、ついつい癖で聖魔法をかけると度数が上がるらしい。それも、一般人が飲んだら一口で卒倒するレベルに。
「俺と二人っきりの時ならば構わない」
「え、そうなの?」
「ほろ酔いで俺を誘惑してくれるティルもなかなかかわいかった」
ぎゃふっ。
※但し飲み過ぎには注意しましょう。
「ゆ、誘惑って、あんまり自覚がないんだけど」
「それは困ったな。俺がどれだけティルに興奮して、我慢しながらつまらんパーティーをひとりで過ごしたと思う?」
アイルたんの赤い瞳がギラギラと怪しく煌めき、そしてふつふつと湧き出る性欲を如実に訴えだした。
ひぅっ!?
「ご、ごめん」
「もう一度」
「え?」
「もう一度、誘惑してみて」
「い、いや、無理無理!だって今正気だし!」
いや、正気じゃなくってほろ酔いだったら誘惑できるのかと聞かれれば、俺自身に自覚がないため周囲が言う通りなのだろうけど。
「あんなにかわいいティルを、大勢の前で見せられたのだ。気に食わん」
「いやー、その、そんなに?」
「そんなにだ。だから、こんどは独占させて?」
何だか急にかわいらしく首を傾げてくるアイルたん。いや、むしろアイルたんの方が妖艶なんだけども。誘惑とか普通にできそうなんだけども。アイルたんは微笑むだけで悩殺可能だと思う!
―――けども。
「でも、どうすればいいかわからないし」
「ふむ、仕方がないな」
そう言うと、アイルたんが不意に上体を起こした。ど、どうしたのかな。
「それじゃ、ティル」
俺の腕を取り引き寄せて、背中を腕で支えながらもう一方の手で華麗なる顎くいを決めるアイルたん。ふわぁ~っ。顎くいだけでも俺、悩殺されてまう~っ!!
―――酔っている。違う意味で俺はアイルたんに酔っているのだ。確実に。いや、酔わないはずがないのだっ!
はて、しかしこれからどういう流れに?
「教えてあげよう」
んー、うん?
アイルたんの股の間に収まっていた両足を引き寄せベッドの上でぺたんこ座りをしながらアイルたんの美しい顔を拝む俺。あぁ、今晩もアイルたんは美しきかな。
そしてアイルたんは俺の身体から腕を解くと、股間に手を伸ばしてバスローブの間からそっと取り出したものは……巨塔の如き立派な代物であった。ほぼ毎晩のようにナカで受け止めているとはいえ、こうも至近距離で拝見した機会はあまりない気がする。初めては暗闇の中だったし。
しかしまぁ。
いつも俺の蕾の入口に押し当てられ、ざっくざく掘削してくるアイルたんのイチモツに人差し指をそっと伸ばす。今夜もお元気らしい。いや、むしろ滾りまくってない?
ゆっくりそろりと撫でるように指を動かし、竿を掌で掴めば。そのいきり立つ肉欲が肌を這って伝わってくるようで。
「ひぁっ」
思わず放しそうになれば、すかさずその上からパシュッとアイルたんの手に押さえられる。
「どうして放す?」
「いや、その。断りもなく触っちゃったし」
しかもめちゃくちゃやばめ。凶悪という表現以上の代物では?
「良い。ティルならばいつでも好きな時に好きなだけ触ればいい」
「いや、その。さすがに玉座に座っている時には触れないでしょうが」
「良いぞ。ティルならば」
「アイルたんったら、冗談きついから」
「冗談ではないが?」
「―――え?」
アイルたんの目がマジな気がするのは気のせい?
「お、俺はベッドの上の方が好きだから」
「そうか?そう言うシチュエーションも燃えるだろう?」
ひぇっ。それどこの好色皇帝!?
「無論、そんなかわいいティルを周囲の目に入れたくはないから人払いはしよう」
そう言う問題ではない気がするんだけどー。
「あのっ、公の場では、ちょっと。公の場だとその、雰囲気みたいのがあるじゃん?だから例え人がいなくても気になると言うか」
一応止めておいた方がいいのだろうか。俺的に断っといた方がいいのだろうか。
「では、この寝室に肘掛け椅子でも贈ろう。それであれば問題なかろう」
え、結局やらされんの?俺。
「座り心地は天にも昇るほどいいものを贈ろう」
それはそれで魅力的なんだけども!
「俺とのプレイ中以外は、ティルが好きにくつろぐために座れば良い」
まぁ、アイルたんが座ってその上で俺が何らかのプレイをさせられるってことだよね。アイルたんが座ったと言うことは、その匂いや魔力の痕跡を椅子の生地越しにすーはーしながら堪能できるということ!いや、どこの変態だそれ!新手の変態か!
―――決してルークにだけはバレないようにしなくては。後でせせら笑いやがるぞアイツはもう。
「ティル。またあの男のことを考えているな」
えっ!?あ、あの男って、ルークのこと?アイルたんがむすっとしている。そう言えば。
「あぁ、そう言えばルークがアイルたんに色々と言ってたけど、気にしないで。今度激辛シシカバブをお見舞いしてやる」
ふひひひひ。
「ふっ、そうではないが。しかし。あの男よりも俺の方がティルに思われていたい」
「いや、俺の一番はアイルたんだって」
「ならば、構わん」
「んっ」
そこはもちろんだって。全くルークったらもう。アイルたんの尊さがまるで分かっていない!
「それじゃ、早速証明してくれ」
ん?証明?
え~っと。アイルたんアイルたんアイルたん!
必殺アイルたん連呼!!
「それもなかなかいいものだが」
ん??足りなかったかな。アイルたん連呼。
「あ、い、挿れるんだよね」
今日はどんな体位で?このまま対面でやるのかな。
「しゃぶって」
「―――下で?」
「舌で」
え??
「ほら、あ~んして。口で、咥えて?」
にんまりと微笑むアイルたんもまた尊し。しかし、しかしだな。
そ、そそそ、それってもしかして。
こっ、口淫ってやつではあぁぁぁっっ!?
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