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第37話 祖国への道
―――ガタン、ゴトン
心地よい振動をたてながら祖国への道を走る馬車に揺られながら。あぁ、行きもこんなところを通ってきたっけなぁとたいして鮮明ではない記憶を呼び起こす。
しげしげと窓の外を眺めていれば、同行している護衛の騎士たちに混じって、ルークが欠伸してやがった。全くもう。しかしながら、カレイド王国銘菓であり、宝石を象ったジャムクッキーを王国に入ったらたらふく食わせてやるとの条件を持ち出したため、渋々外で護衛に混ざっている。
ついでにユーリは皇帝付きの侍従や宰相から推薦のあった補佐たちとともに同行の馬車に乗車している。因みに俺はアイルたんとふたりっきりの馬車である。座席はふかふかで揺れも酷いものじゃない。適度な揺れに身を委ねながらついついうたた寝してしまうローカル列車のような乗り心地。なお、この世界には列車はないのであくまでも日本での暮らしの中にあったひとつの知識である。俺が日本で乗り慣れていたローカル列車はこんな感じだったなぁ。まぁ、そうじゃないローカル列車もあるかもだけど。
しかし窓の外をじっと眺めていたら、不意に窓のカーテンを閉じられてしまった。
「ふぇ?アイルたん?」
そのカーテンを閉じた指の主を振り返れば。
「ティル、隣に俺が座っているのに、何故外ばかり眺める」
そう、不満げな表情を浮かべるアイルたんが、俺の腰をぎゅっと抱き寄せてきた。
「あっ、ごめん!ついつい、外の景色が気になって」
「俺よりも気になるのか」
そう、美麗な顔を俺の目と鼻の先に寄せ、そして華麗なる顎くいを決めるアイルたん。うーわわわわあああぁぁぁぁ―――っ!!やっぱりイケメン!美しい!尊すぎるわアイルたん!
「それで良い。脳内でもちゃんと俺を呼んでくれ」
「あ、うん」
そんな風に言われると、何だか無性にアイルたんがかわいく見えてしまう。
「よしよ~し」
ついアイルたんの頭をなでなでしていれば。
「ティルはそれが好きなのか?」
「えっと、何となくやりたくなっちゃって。アイルたんは嫌だった?」
「まさか。ティルに触られるならどこだっていい。ここでも良い」
そう、アイルたんがそっと自身の手を伸ばしたのは。
「らめ―――っ!さすがにそこはだめ!馬車の中だよ!?周りに護衛騎士たちいるんだよ!?御者だって~~~っ!」
しかも、今回は近衛騎士団長だって同行してたはず!何たって皇帝のお出ましだもん~っ!いや、宰相曰く、何かあった時の貴重な常識人。―――ってその人選の真意は!?
ついでに、ブラコンラートは宰相と一緒にお留守番だが、彼の部下は護衛に紛れている。もしや奴ら対策か!?
「だからこそ安全だというに。ある程度の防音設備は整っているし」
「でも、万が一聞かれたら」
そのっ、喘ぎ声とか。
「ティルのかわいい声をまんまと聞かせる俺だと思うか?」
「それは、そのー」
アイルたんなら徹底対策しそうだけども。
「それに、万が一聞こえたとしたら聞こえないふりをせよと命じてある」
既に根回し済んでた―――っ!!
「ほら、だからティル。馬車旅は長い。だからこそ、楽しもうか」
「お、降りた時に着衣が乱れていたら」
「ただすまでは入れない」
「そうはいっても、んむっ!?」
唇を塞がれ、そしていつものように口のナカにアイルたんのとろりとした舌が押し入ってきて、そして俺の口のナカを蕩けさせていく。
「んむっ、んはぁっ」
ようやく舌を絡めながらも唇を解放されたかと思えば。
「んっ……ティル」
甘く蕩けるように囁きながらアイルたんの唇が頬を這ってくる。それと同時にシャツのボタンをぷちぷちと外されて。
「あ、アイルたん、何をっ」
する気なの?
そう思っていれば、アイルたんの指が俺の首筋をそそっと撫でる。そしてゆっくりと唇を首筋に吸い付けてくる。
「ふ、あぁっ」
そしてチクっとする痛みと共にアイルたんが舌でれろれろと首筋を嘗め、再びぢゅぷりとむしゃぶりついてきた。じっくりとねっとりとした愛撫を首筋に捧げられただけで、夢うつつかわからないほど蕩けている俺がいる。
「ティルの肌は、自動回復ですぐにこの印を消してしまうから」
「うぅっ」
確かにそうなのだ。俺の聖魔力の自動回復能力はアイルたんが付けてくれた印にすら影響してしまう。だからこそ、毎晩のようにしゃぶりつかれているのだが。
「だが、最近はティルの肌も覚えたようで、痕がほんの少し残るようになった。いずれ消えなくなるかもしれんな」
「いやいや、そんなまさか」
「嫌、なのか?」
そんなしゅーんとした目で見つめないで~~~っ!
「あ、アイルたんのだけだからね」
「当たり前だ。他の誰にも、ティルに痕など付けさせない」
そう語るアイルたんの赤い瞳がギラリと光った。
でも、俺の身体もアイルたんの印を覚えているのかな。蕾の入口については、毎回修復されるのでアイルたんが大喜びで掘削してくるのだが。そちらはアイルたんの性欲を掻き立てるのだが、ナカの肉室はなんだか既にアイルたんのカタチを覚えてしまっているような。
う~む。聖魔力の自動回復と言っても、ひとを選ぶようにできているんだろうか。なら、俺はアイルたん印は大歓迎である。えへへー。
「んっ、ティル」
「あぅっ、アイルたんっ」
これから昼食の際に馬車を降りる予定があるからか、本格的に脱がされて濡らされることはなかったが、それでもちゅぷちゅぷとアイルたんの唇に愛撫されまくったのは言うまでもない。
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