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五十 甘い生活
寮に帰ると、シャワーも浴びずに唇を重ねた。吉永は焦らされたのが限界だったらしく、剥ぎ取った下着がだいぶ濡れていた。
「んぁ、は……」
シャツと下着を脱がせて、ベッドに寝かせる。早く挿入して欲しそうだったが、こっちは一度達しているせいで、まだ冷静だ。
「航平……、これ以上、焦らすなよ……」
「まあ、待てって。今、靴下を脱がせるか迷ってるから」
「は?」
「脱がせるのも楽しいけど、履いたままも好きなんだよなぁ。悩む」
「バカかてめえはっ!」
脚で腿を蹴られるが、それはご褒美にしかならない。足フェチ舐めんな。
「そうだ。片方だけ脱がせよう」
「勝手にし――」
言いかけた言葉は、俺が膝にキスしたと同時に掻き消えた。ねっとりと舌を這わせながら、ゆっくり靴下を脱がせる。吉永の脚は何故か毛も薄く形が良い。
「本当に脱毛してないの?」
「するか。営業とか、してるやつもいるらしいけど……ん」
「マジか。営業ってそんなことするんだ」
「あっ、ん……。渡瀬とか、してるって……」
渡瀬か。同じ夕暮れ寮の仲間で、営業部の人間だ。確かに、小ぎれいにしてる印象がある。スゲーな営業。それって自腹だろ? 考えられないね。
足首にちゅっとキスをして、靴下をすっかり脱がせる。良い脚だ。素晴らしい。
「っ、シャワー、浴びてない、からっ……」
「うん」
解ってる。解ってる。でも吉永はキレイだし匂いもないけどな。恥ずかしそうにしてる顔は好きだぞ。
しつこくキスを繰り返す俺に、吉永が呆れた顔をする。
「なんで脚触って勃起してんだよ……」
「そりゃ、魅力的な脚だからだろ」
滑らかで、好みの脚なんだから。興奮するに決まってる。この脚を好きに触って良いのも、キスの痕をつけるのも、俺にしか許されていないんだ。そう思うと、すごく興奮する。
「おれは、脚以外も触って欲しいんだけど……?」
吉永の声に、「そう?」と返事しながら踝を舐める。ビクッと、吉永が脚を震わせた。
「っ……ん、あんま、焦らすなって……っ。今度、足で抜いてやるから――」
その言葉に、ピクンと反応する。
(足で、だと……?)
ぐいっと顔を近づけ、吉永の頬を両手で包む。
「マジで? いつ? いつやってくれんの?」
「怖い怖い! なんでそんなに反応すんだよ!」
「だって足だぞ!?」
「お前、本当に足好きだな……」
「大好きだ。で、いつ?」
もうバレてるし、隠す必要もないからな。ちゅーっと唇に吸い付いて、いつやってくれるのかと問い詰める。
「っ、ん。寮じゃ出来ねえって。今度、な」
「よし来た。じゃあ今週末な! ホテル行こ!」
「すげえ元気じゃん……」
「そうと決まれば、ご奉仕しねーと」
「っ……!」
胸に唇を落として、ちゅ、ちゅと吸い付く。吉永が満足するまで、たっぷりしてやろう。
舌を這わせながら、アナルに指を這わせる。先程吉永が自分で弄くっていたから、指はすんなりと入り込む。
「っ、あ……ん…っ」
甘い声を上げながら、ピクンと皮膚を震わせる。胸にキスを散らして、指で腸壁を擦り付ける。
「あ、あ……、んぁ……っ」
「尻、浮かせて」
「っ、ん……」
言われるままに、吉永が腰を浮かせて尻をこちらに向ける。指が刺さった穴にローションを追加して、じゅぷじゅぷと音を立てながら解していく。
「っ、航平……っ、音、立てんな…っ」
「仕方ないじゃん。わざとじゃねーって」
まあ、嘘だけど。わざと音を立てながら、アナルを解す。吉永は顔を真っ赤にしながら、フルフルと膝を震わせる。
(すげえ、エロいな。この格好……)
尻を突き出すようにして、穴を俺の方に向けて。片方の足は靴下を履いたままで。最高にエロい。
堪らず指を引き抜き、素早くコンドームを着ける。アナルに勃起した性器を押し当てた。
「っぁ」
「挿れるぞ」
「んぅ」
ローションとコンドームの先端が擦れて、ぬちゅ、と濡れた感触を伝える。散々ナマでしてきたせいで、薄い壁越しの感触に違和感があるが、仕方ない。吉永を大切にすると決めた以上、ちゃんとすると決めた。
「あ――……っ」
荒い息を吐きながら、吉永がぎゅっと瞼を閉じる。挿入の圧迫感に耐える表情に、心臓がきゅうと痛くなる。可愛い。泣かせたい。この、年上の男が、俺のせいでこんなになっているのが、酷く、そそる。
「吉永……」
唇を食みながら、ぐっと腰を押し進める。ぬるん、と内部に侵入する感覚に、ぞくりと皮膚が粟立った。
「あ、ぅん……」
「大丈夫? キツい?」
ハァハァと息を吐きながら、頬に唇を寄せる。柔らかな頬は汗と涙で少ししょっぱかった。
「ん、大丈……夫…。奥……、来て…」
誘われるままに、奥までぐぐっと貫く。吉永の身体がしなり、ビク、ビクと身体が震えた。
「あ、あ……っ!」
吉永の性器が、ビクビクと震え、濃い粘液を迸らせる。
「っ、おい。早くないか?」
「…っ、焦らされ、たからっ……」
挿入だけで達してしまった吉永に、思わずそう言ってしまう。吉永はゼェゼェと息を切らせ、ぐったりとベッドに身体を預けた。
「イったとこ悪いけど、俺もやめられないからな」
「っ、あ」
ずっ、と腰を引き抜き、ゆっくりと抜き差しを繰り返す。今のところまだ、余裕がある。ゆっくりと、内部を味わうように擦り付ける。
「あ、ひゃ、んっ」
ビクッ、ビクン。吉永が震える。達したばかりで過敏になっているらしく、身体が小刻みに震える。
「あ、あ、ぁ……っ! 航平っ…ん」
「もう反応してんじゃん」
「あ! 触っ……!」
イったばかりの性器が、またむくりと膨らむのを、手のひらで転がすように触れる。それを、吉永の手が塞ぐ。
「ダメ、触、ないで……」
「可愛いのに」
「ばかっ……」
潤んだ顔で睨まれ、ぞくんと胸が疼く。堪らない。本当に、可愛くて仕方がない。
自分でも、吉永の様子に酷く興奮したのが解る。下腹部に血液が集まるのを感じながら、腰を掴んで乱暴に揺さぶった。
「っ、あ! デカくすん、なっ……!」
「無茶言うな」
「あ、あ! あっ!」
ずん、ずんと、強く揺さぶり、突き上げる。吉永が白い喉を晒す。喘ぎを漏らす唇から、唾液溢れる。
「吉永っ……! 吉永……っ」
「あ、んぁ……あ、はっ……ん」
吉永が俺の背に、爪を立てる。爪先を伸ばして、全身で快感を受け止める。吉永の性器はまた起き上がって、揺さぶる度に大きく跳ね上がった。
「航平っ、航平……っ!」
何度も名前を呼びながら、唇を重ねる。呼吸が乱れて、息が苦しいのに。二人ともキスをやめなかった。
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