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八十三 とりあえず律は俺に甘い

「へえ。バーベキュー」  正座する俺の向かいで、ベッドに腰かける律の声色はとても冷たかった。 「しっ、仕方ないだろっ。栃木がセッティングして欲しいっていうからさ……! ここで避けるのもなんか変じゃん……!」  必死に言い訳しながら、心の中では罪悪感でいっぱいになる。律に罵られても仕方がない。怒られるのも解ってる。  でも、嫌いになって欲しくない。  河井さんが居るのを理由に断るのは、失礼な気がして出来ない。彼女とはまだ『なにもない』。何も起きていないのに、会社での付き合いがあるのに、避けるのは難しい。俺と彼女は今のところ、『友達』ではあるのだ。 「でも合コンでしょ?」 「そうだけどっ……!」  指摘され、ぐっと胸を詰まらせる。そうだよ。俺は恋人が居るのに合コンに行っちゃうゲス野郎だよ。 「そうだけど、俺が好きなのは律だけだって。絶対に浮気なんかしない。誓うから!」  ――機嫌を直して欲しい――。そう思って律を見る。律は無表情でそっぽを向いたまま、こちらを見ようとしない。 「――っ」  ずくん。胸が疼く。こんなにも苦しくて、その上、律のことも傷つけている。 (やっぱり、断るべきだったんだ……)  栃木に絆されて頷いてしまったけれど、そう言う問題じゃなかった。俺が大事なのは栃木じゃなくて律なのに。 「……ゴメン、律。合コンは行かない。栃木にはちゃんと言っておく……」  うなだれる俺に、律がチラリとこちらを見た。 「律ちゃん……」 「ばーか」  律がつま先で、俺の顎をクイと上げた。こんな状況だが、それはご褒美にしかならんのだが。 「り、律」 「行って来いよ。合コン」 「へぁ?」  律が行ったことが頭に入ってこなくて、変な声が出る。なんていった? 合コンに行けと言った気がする。 「え?」 「だから、行ってこい」 「な、なんで? 怒ったの? 俺みたいなヤツはもうイヤなのか?」  慌てて必死に脚に縋りつく俺に、律は顔を顰めて逃げようとするが、俺はがっちりと脚をホールドして逃がさない。 「おいっ、離せ!」 「飽きたのか!? 足フェチは嫌いか!?」 「違うからっ、離せっ!」 「律ちゃん、俺ナシじゃダメじゃん」  両足を抱えて、立ち上がる。必然的に律はベッドに転がされる形になって、どさっとベッドに倒れ込んだ。 「うわっ!」 「律の穴、もう俺の形になってんのに。俺のしかダメな癖にっ」 「っ、ばか、アホなこと言ってんな。別に嫌いになってないし、別れたりしねーからっ」 「――本当に?」 「本当に」 「……どのくらい、本気で?」 「足舐めして太腿に挟んだ後、つま先にぶっかけても怒らないくらい」 「じゃあ大丈夫だな」  なんだよ。俺のこと大好きじゃん。ホッとしたわ。 「でも、なんで? 嫌じゃないの?」 「え? 嫌だよ? でもまあ、隠さず言ってくれたし? 友達付き合いが大事なの解ってるし? おれ負けねえし?」 「律ちゃん最高かよ」  俺の恋人が最高すぎる件。理解もあってエロいとか、最高過ぎる。 「まあ、年上の余裕ってヤツよ。お前だっておれがないと生きて居られないだろ?」 「うん。死ぬ」 「いやいや、簡単に死ぬな。おれはお前より後に死ぬのが理想だけど、あんま早く行くなよ?」 「うん。律ちゃん大好き」 「ちょっと知能指数下がってね?」  甘えモードになって律に抱き着く。律は仕方がないな、って顔をしながら俺の頭をナデナデと撫でた。 「……ところで、足舐めして太腿に挟んだ後、つま先にぶっかけても良いのか?」 「……」  ピタリと、頭を撫でる手が止まる。律の顔を覗き込むと、覚めた目で見られた。 「ダメなのか?」 「………」  律の唇がむぐむぐと動く。じんわりと、頬が赤く染まっていく。 「……………いい、けど」 「けど?」  お許しが出て、思わずパッと顔を上げる。我ながら、犬みたいだと思う。 「………ちゃんと、他も……いっぱい、して?」 「っ…。するっ。律ちゃんが立てなくなるくらい、いっぱいするっ」 「っ、おいっ、んむっ」  唇を塞ぎ、舌を絡ませる。律はなにか抗議したそうだったが、諦めて俺の背に腕を回した。  その日は、律が不安なんか感じられないくらいにいっぱい「愛してる」「可愛い」「好き」と繰り返しながら、律が立てなくなるまで全身愛してやった。ひくひくと尻を震わせながらぐったりする律の脚に、ぶっかけるのはすごく楽しかったです。

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