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美味しいお酒?
「ねぇ、遠田さん。今日、ダメ?」
「駄目」
「ちぇ〜」
風呂上がりにソファに座り、
ぼーっとテレビを見ていると
俺の膝に頭を乗せたネコヤが
あざとい顔で聞いてくる。
毎晩聞いてくる。
「あ、今日ね、仕事先で美味しいお酒もらったんだよ!飲む?」
「お酒?」
「そう!ボトルでもらったんだけど、僕1人じゃ飲みきれないから」
俺が飲むとも飲まないとも言ってないのに
ネコヤは台所からグラスと酒瓶を持ってきた。
グラスにはすでに金色の液体が
注がれていた。
「梅酒なんだけど、超いいやつらしい」
「へぇ…」
あまり果実酒は飲まないが
すでにグラスに注がれているので
仕方なく口をつける。
果実酒独特の甘ったるいのに
酒臭いみたいな癖がなく
かなりスッキリとしてて飲みやすかった。
「マスターが自分で作ったんだって」
「へぇ。美味いな」
「でしょ?」
ネコヤは上機嫌でお酒を舐めている。
飲んでいるというより、舐めているというのが正しいくらいにチビチビと。
なんで仕事先でボトルの酒をもらうんだ?
と思ったけど、今のネコヤは
バーで働いていたことを思い出した。
人間関係はうまくいってるようで良かった。
ネコヤと取り止めのない話をしていると
ドクンと心臓が鳴った。
心臓がバクバクする。暑い。
「っ!?」
俺の変化に気づいたのか、
ネコヤが俺の膝に乗っかってきた。
俺の顔を覗き込んで言う。
「薬、効いてきた?」
「は?クスリ…?」
ニヤニヤと怪しい顔で俺を覗き込むネコヤを見て、察した。
「お前、薬盛ったのか!?」
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