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責任を取ろう
布団を整えていると
ネコヤが反省した様子で
シャワーから戻ってきた。
髪はふわふわに戻っている。
「あのさ、ネコヤ」
寝室の入り口で立ち尽くす彼に向かって
声をかけると大袈裟に肩が跳ねる。
「ごめんなさい。もうしないか!追い出さないで!!」
また感情が昂ってきたのか
目に涙を浮かべている。
「いや、そう言う話じゃなくて…、その…、責任を取らせてくれないか?」
「そこをなんとかっ…、て、っえ?責任?」
「ネコヤにかなり負担をかけたし、キズモノにしてしまった責任を…」
「キズモノ…って、え?僕もうすでにボロボロの傷だらけだけど…」
ネコヤは不思議そうな顔をしてから
左腕を気にしている。
捲り上げられた袖の下に
細くて白い、切り傷のたくさん入った腕が生えている。
「いや、そう言うことじゃなく…。とにかく、責任をとって恋人にさせてくれないか?」
「…、えぇ!?」
「いや、ネコヤが嫌なら別の落とし前を…」
しかしながら、それ以外にいったい
何をしたら今回のことが許されるのだろう。
断られることを考えてなかったな…
と、頭を悩ませていると
「僕は大歓迎だよ。遠田さん好みだし」
勝手に思い違いをしてくれてラッキー、
というネコヤの呟きは聞こえなかった。
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