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重めの愛※
そして、例の如くベッドに落とされた。
こんなふうに始まるの、
僕が薬を盛った時以来かも…
基本的には僕の方が性欲強いし
主導権を握る事が多かったから
樹さんの方から来るのは
かなりドキドキする。
僕だけが好きなわけじゃないんだって
実感できるし。
「実家にいる時から我慢してた」
ベッドに投げ出された僕の上に
覆い被さりながら
至近距離で僕の顔を見つめながら言う。
「樹さんもしたいと思う事あるんだ」
「当たり前だ。八尋のこと、好きだって自覚した時から、引かれないようにするの堪えてたから」
「引くわけないじゃん」
「だって、八尋は俺のこと
同居人ぐらいにしか思ってないと思って…
恋人になろうって言ったのも俺からだったし」
「好きになる前に付き合うのは
よくないってことだね」
「でももう、八尋も俺も他の人を好きになることはないから、忘れていい」
「…、意外と樹さんも重いよね」
「重いのか…。でも、こんなに逃したくないと思ったのは八尋だけかもな」
そういうと、僕の胸に顔を押し付ける。
甘えているんだろうか?
僕が甘やかされるはずだったのに。
苦笑しながら僕は樹さんの後頭部を撫でる。
僕の脱色しまくって柔らかくなった毛とは違って、黒くて硬くて直毛だ。
「僕はいつも振られる方だから大丈夫だよ。
いつか樹さんが逃げたくなるかも」
「そんなことないって証明する」
「証明って…、わっ!?」
急に体を起こした樹さんが
僕の服を捲り上げた。
証明って…、やっぱりそっちですよね。
分かってはいたけどね。
胸の頂を喰まれて全身の力が抜ける。
抵抗する気なんてないのに
手首はしっかり抑えられたままだ。
逃げるな、と言われているみたいに。
いつもよりも長くそこを愛撫されて
もどかしくなって膝を擦り合わせる。
「そこばっかやだ」
と言っても「証明するんだから」と
全然先に進まない。
散々なぶられて、ようやく口が離れたと思ったら、すでに一度達してしまったのに
屹立しているところをやわやわと揉まれる。
足りない。
「もっとちゃんと触って」
と言っても「こんなにぐしょぐしょだから十分だろ」とゆっくりいじられる。
今日の樹さんは全然優しくない。
ようやく解放されたと思ったら
後ろもゆっくりと解される。
僕なんて、だいぶ経験者なんだから
そんなところ潤滑油さえあれば
ほどほどでいいのに。
一度、樹さんのを挿れてしまったそこは
指なんかじゃ全然足りない。
「もうやだぁ…、挿れていいからぁ」
半泣きで懇願する。
「俺は多分、八尋のおねだりに弱い」
と、樹さんは僕の頬にキスをすると
そのまま一気に挿入ってきた。
待ち望んでいたのに、
僕の後孔は抵抗する。
挿れるところじゃないから当たり前だけど。
その反発してるところに無理やり入ってくるのがとても気持ちいい。
樹さんも同じみたいだ。
「八尋の中に入ると、いつもすぐ出そうになる」
耐えているような表情の樹さんに
今までの長い愛撫の理由を知る。
「僕、多分、丁寧に前戯されればされるほど、後ろが締まるらしいよ」
「逆効果か」と、樹さんは笑ったあと
「そんなこと教えたのはどこのどいつだ?」と急に怖い顔して、ガツガツと腰を動かした。
「やあっ!?ちがっ!自分で気づいたの!」
弁明しても止まってはもらえない。
早く出そうになる、とか言っておきながら
全然止まることなく
僕はまた長らく喘がされることになった。
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