16 / 39

第16話

 ボンッ。ポン。バババババ。  二人の頭上で色鮮やかな光の花が咲き乱れる。  暖の鼓動が密着した肌から伝わってきた。  暖がここにいる、こんなにも近くにいる、そう思うと嬉しかった。  ふいに身体を解かれたかと思うと、琥珀の手を取り暖は歩き出した。大股でどんどん行くので琥珀は小走りになる。 「どこ行くの?」  暖は答えない。 「ねぇ、暖ったら、どこに行くんだよ?」  いくら聞いても暖は答えないので、途中で琥珀は諦め、おとなしく暖に手を引かれて歩いた。  暖と一緒だったらどこへでも行く。  暖がいるところが琥珀が行きたい場所だから。  夜空に輝く大輪の花が二人を照らす。  繋がれた手が温かくて、琥珀の顔にも小さな花が咲いた。  濡れた髪が風に吹かれて、少しずつ乾いていく。  暖が向かった先は、暖の家だった。  玄関を入ると暖のお父さんは仕事でいないのか、家の中は真っ暗だった。急かされるように靴を脱ぎ、暖の部屋がある二階へと上がる。  暖の部屋に入るのは久しぶりだった。暖はやっと琥珀の手を離したかと思うと、琥珀をベッドの上に突き飛ばした。 「ちょっ、暖、なにすんだよ」  暖はすかさず琥珀の上に馬乗りになる。 「俺の言うことならなんでも聞くっていうのは本当か?」  まただ……。  琥珀は思った。  また、暖は苦しそうな表情をしている。何がそんなに辛いのだ? それは琥珀には言えないことなのか? 「聞くよ、暖の言うことだったらなんでも聞く。だって俺にとって暖は今でも無二の親友だから」  いきなり暖に口を塞がれた。西日の差し込む教室の初めてのキスから二度目のキスに、琥珀はもうそれほど動揺しなかった。  この後どんなふうになるのか分かっていたので、自ら唇を薄く開くと、すぐに暖は舌をねじ込んできた。  最初の時と同じに、暖は鋭い視線を向け琥珀を観察していた。このキスを琥珀は受け入れているのだと伝えるように、琥珀はその瞼をそっと閉じた。  琥珀を征服するような激しいキスだった。琥珀の口の中を散々掻き回すと、暖はやっと琥珀を解放した。  目を開けると、暖の黒い瞳が見下ろしていた。 「こんなことをされても、まだ俺と友達でいたいか」  琥珀はわずかにうなづいた。暖の瞳の奥がまた一段と暗くなる。 「じゃ、今日から俺たちは友達は友達でもセックスフレンドな」 「せっく……、それどういう、っ……」  首筋を痛いほど強く吸われた。暖の手が乱暴にシャツをめくって中に入ってくる。  さすがに琥珀は狼狽し、身体を縮めるようによじったが、強引に押し開かれる。暖の骨っぽい指が小さな蕾を探りあてこね回し、無理やりそれを立ち上がらせる。  琥珀は固く目を閉じた。

ともだちにシェアしよう!