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第4話 意外な同行者。

「いや、これは誤解なんだ」 もみゅもみゅ…… 「リリヤ」 いやぁ―――っ!誤解を解きたいのに、何でまだ股間もみゅもみゅしてるんだろうねっ!?シュレヴィが名残惜しそうに俺の名前を呼びながら訴えるような目を向けてくるんだろうね!? 「誤解も何も、現在進行形で股間もみゅもみゅしてますね」 「もみゅもみゅ、している」 ふぐあぁぁぁっっ!! 現在、馬車の中には俺とシュレヴィの他に、2人の青年が乗り込んでいる。 1人目は俺がシュレヴィに股間をもみゅもみゅされているのを冷めた目で見つめるユッシ・トルマリン男爵令息。俺的には、ヒロイン。 2人目はヴァルト・ブラッドストーン。彼は平民であり、今回城のパーティーにもいたのは、原作の強制力か何かなのだろうか。未だに分からない。 「リリヤ、ここを……しゃぶっていいだろうか?」 「2人の前で言ううぅぅっっ!?てか、しゃぶるのぉっ!?」 「リリヤから、そう申し出てくれるとは思わなかった。そうだな。あんあんかわいく鳴くリリヤもかわいい」 いや、どうかしてるぅっ! 「そしてそんなリリヤを私の(つま)だとアピールする良い機会になるだろう」 なるかぁいっ!! 「2人だって、困るよねっ!?」 辺境伯さまが馬車の中で俺のtmpしゃぶりだしたら困るよねっ!? 「生BLは栄養補給になるので構わないです」 と、ユッシ。 えええぇぇぇっっ!?栄養になるの!?そうなのぉっ!? 「ん」 ヴァルトもそれでいい感じなの!?この世界ってこんなにもエロに開かれていたっけ!?今までの俺の知識ではよく、分からんんんっっ!! 「と、ところで、2人は何でここに、来たの?」 それも、馬車の中に乗り込んできて。 いや、シュレヴィも別に拒まなかったし。むしろ見せつけたいとばかりに俺の股間に手を伸ばしているし。 「リクハルドさまを脅っ、いえ、頼んでカーマイン侯爵家からのロードナイト辺境伯家への紹介状を急ぎ書いていただいたのです」 ちょっと待って。あの、ユッシも何か一瞬脅したって言おうとしなかったっ!? ユッシにしろシュレヴィにしろ、何してんのっ!?それにリクハルドって何だか攻略対象的な立ち位置だったよっ!あくまでも原作がゲーム形式だった場合によるけども! 「ロードナイト辺境伯家は、武芸に秀でたカーマイン侯爵家ともつながりがあるので」 まぁ、確かにカーマイン侯爵家は代々近衛騎士や騎士を輩出してきた血筋だ。辺境伯家と繋がりくらいは、あるだろう。 紹介状を書いてもらえるかどうかは派閥も関係しているとは思うのだが、今回は特に問題がなかったらしい。 「あの、何でロードナイト辺境伯家に……ひゃっ、あっ!?シュレヴィさま、ら、らめぇっ!!!」 ちょまっ!?今ユッシと話してるのに、何かすごいお触りがっ!お触りの指がおパンツの中にまで伸びようとしているううぅぅぅっっ!!! 何これ、何でそこまで!?欲求不満?それともユッシと話しているからヤキモチでも妬いているのかなぁこのひとおおぉぉぉっっ!! 「だって、このまま帰ったら確実に実家から勘当されますよ。俺嫡男じゃないですし、家は兄が継ぎます。なんだかんだで学園では交友関係が派手でしたし」 「に、逃げるってこと?」 「仕方がないでしょうが。あの断罪のタイミングで思い出して、その上王太子殿下が選んだのはまさかの全く関係ないセラフィーネさまだったんですから」 え、“思い出して”って。 「まさか、ユッシは」 「その反応、やはりリリヤさまも何ですね。まぁ、断罪のショックとみなす意見もありますが、今までの様子と比べればまるで別人のようになっていましたし」 「それは、そうだね」 以前までのリリヤなら、あの場で暴れまくってた。そしてその時は、シュレヴィに止められていたのかなぁ。 「あの時、思い出したんです。前世の記憶。あの場から蒸し返すのと、あと俺の目的を達成するには、こうしてリリヤさまについていくのが一番だと思いました」 「俺に?何故」 「ついでに辺境に行けるので」 「行きたい理由があるのか?」 「こういうのの定番があるでしょう?最推しを、愛でに行きます」 「そ、そうか」 ユッシの目は、真剣だった。最推しを求める、確固たる決意の籠った眼差し。その眼差しで宣言されたら、断れないっ!! 「あ、因みにヴァルトは?転生者?」 「いえ、ヴァルトは違いますよ」 「じゃぁ、どうして一緒に?」 「ヴァルトの正体を盾に脅して、ヘッドロックキメて、巻き添えにしました」 いや、待って待って。ヴァルトの正体ってのも気になるけど、ヘッドロックって何!?この子ヘッドロックキメたのぉっ!? 「まさか、見破られるとは」 「私なら、容易に分かるが」 ヴァルトの言葉に応えたのは、シュレヴィだ。因みにシュレヴィは、未だ俺の股間から手を放さない。俺の股間の前では、シュレヴィの指をおパンツと肌の間に入れまいとする俺と、入れようとするシュレヴィの攻防が繰り広げられているところだった。 「貴様は混魔。ーー吸血鬼か?」 え、ヴァルトがっ!? 「いかにも、俺は吸血鬼の血を引いています。バレていないと思っておりましたが、ユッシは前世の記憶とやらの不思議な記憶により、俺の正体を見破りましたので」 「因みに聖女のことを探るために学園に潜り込まされた暗殺者ですよ」 と、ユッシ。 「えぇ―――っっ!?てか、それいいの!?言っちゃっていいのっ!?」 「一蓮托生ですからね」 「ねー」 むしろ巻き込むために明かしたのかっ!? 「まぁ、良い。そなたらは辺境伯領に着くまで、リリヤが私のものだとしかと目に焼き付けるがいい」 『はーい』 いや、話まとまったぁっ!?いいのっ!?これでいいのか!?あと、シュレヴィも順応力たっかくないっ!?前世の記憶の話とかすんなり流しながらずっと俺の股間いじくってたよこのひとぉっ!! 「では、出発してくれ」 そう、シュレヴィが告げれば馬車が浮かび上がった気がした。 「えっ」 馬車の窓の外を見れば、地上が遠ざかっていく? 「飛んでるぅ――――っっ!?」 「知らなかったんですね」 いや、むしろ何でユッシはそこまで知ってたのぉ―――っ!?

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