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第8話 辺境伯とお風呂。
「あぁ、大きいお風呂、温泉みたいで気持ちいい」
辺境伯家の風呂は、でかかった。バスタブじゃない、ちゃんとした浴槽があったのだ。まるで大浴場なみの、風呂!浴槽!広すぎる風呂!
これが、全て辺境伯であるシュレヴィ個人用だなんて。いや、これからは俺も夫 として入れるのか。めちゃくちゃ贅沢。こんなにゆったりとした時間を過ごしたことなんて、この世界に転生してから初めてじゃないだろうか。
「リリヤ」
「ん~?」
俺はまったりしながらも、横で一緒に湯に浸かっているシュレヴィを見る。
「これは、温泉だが?」
「え?」
むにゅっ
「あんっ!こんなとこで、なんで触ってっ!」
今、重要な解説をされた気がするのだが、だからって一緒に股間に手を伸ばすひとがいますかっ!いや、いるぅっ!!ここにぃっ!!!
「我が辺境伯領自慢の温泉だ。湯量も種類も豊富でな。溢れさせるのももったいない。だからこうして、辺境伯家の湯に使っている。私たちは個人用の浴槽で楽しんでいるが、屋敷の大浴場にも湯を引いているから、使用人たちや騎士たちも愛用しているぞ。庶民の浴場にも開放していてな、我が辺境伯領のものたちは温泉が好きなのだ」
そ、そうなんだぁ~!温泉があって、更には温泉好きの領民性!俺としてはありがたい。それに湯の種類もたくさんあるとか。
温泉巡りがしたくなってくるわぁ。
でもね。
それは大変ありがたいんだけどね。
「あの、シュレヴィ。何で俺の股間から手を放してくれないのかな?」
シュレヴィは湯の中で、絶賛俺のtmpを愛でている最中であった。
「で、でたらまずいから!温泉だからっ!」
「大丈夫だ。直前に湯からあげて、私がしゃぶるから」
「そう言う問題いいぃぃっっ!?その、べ、ベッドの上でって言ったじゃんっ!?」
「それも、そうか。ついついシたくなったのなら、応えねばと思ったのだが」
いや、それはただシュレヴィが俺の蜜しゃぶりたいからだよねっ!?
「こっちは、どうだ?」
続いて、シュレヴィが俺の胸に手を伸ばす。え、胸?
「母乳が、出るだろうか」
「出ません―――っっ!!!」
普段から母乳なんて出てたまるかいっ!!いや、その、子育ての時には出るらしいけど。
この世界には男しかいないので、当然そん時には出ると言われている。俺はもちろん経験がないから分からないけども。でも受けだから。
「ここも開発したいな」
いや、まさかの胸元に2輪咲いているお花にまで手を出す気かっ!!
くにくに
くにくに
ぷつんっ
「あんっ」
「あぁ、かわいいな。リリヤ」
いや、何でこのひとは本当に。俺のことをかわいい、かわいいって。俺なんてツリ目な悪役顔の平凡男子だぞ?しかも今までの俺は破壊癖あるし。
そう言えばあの衝動、不思議と今は落ち着いている。
前世の記憶が蘇ったことと関係があるのかなぁとも思っていたが、もしかしてシュレヴィ?
ふと、じっとシュレヴィを見つめてしまって、ハッとして慌てて目を逸らす。
「そうだったな。まずは、こちらだ。安心してくれ。まずしゃぶるのはもちろん、リリヤの下の蜜だ」
どてっ。安心できるかいっ!!
いやまぁ、それはそれでシュレヴィなのだと、会って間もないのに既に学習してしまっている。
「あの、そろそろ、出ようか」
のぼせちゃいけないし。
「うん?そうだな、少し、顔が赤いようだ」
「だ、誰のせいだと」
「私のことを見つめて、発情してしまったのだろう。かわいいな。だとしたら私の顔も、赤いだろうか」
「え?」
発情って何!?言っとくけど、オメガバースみたいな発情期とか、獣人系の発情期とかないからね!?ケモミミしっぽがいたとしても、それはヒト型の魔物に近い。
ヴァルトの吸血鬼のように、狼男や牛男みたいな魔物がいるのだ。
だからって、一般的に人間に発情期はないから。男しかいない世界だけど、受けに発情期はないっ!
「私もそなたに欲情している」
こっちはこっちで欲情してるんかいっ!
「まぁ、その。少し、だけ?」
頬はバラ色に染まっている気がする。
「そうか。だがこの熱は、風呂から上がっても、きっと冷めやらない」
「そ、そうなの?」
「ベッドの中まで、きっと持続する。むしろ、燃え上がるだろう」
燃え上がるって。
いや、何をやる気なのかは分かるよ。うん。
「変なこと言ってないで、あがるよ!」
ばしゃんと音を立てて立ち上がればーー
「うむ、のぼせては困るからな」
「そうそう。ほら、シュレヴィも来て」
「急かすな。リリヤ」
シュレヴィの手首を掴んで、湯からあげればシュレヴィが微笑みながら俺と一緒に湯から上がる。
ん?
そこで、気が付いた。
今までは湯船に入るのにわくわくしすぎて、特に注視していなかった。
「あの、シュレヴィ」
「ん?どうした?そんなに私の股間を見つめて」
「ひぅ―――っ!?」
シュレヴィは、的確に俺の視線の先を指摘した。いや、まぁ、ガン見しちゃったけどぉっ!ふいっと顔を逸らしたのだが。
むにゅっ
何故かシュレヴィの両手に両頬を包まれた。
「ふぇ?」
「好きなだけ、見て良いのだからな。私のここは、リリヤのためにある」
いや、俺のためにあるってっ!
ちょっとロマンチックに聞こえたのは気のせいだろうか。でもそれ、雄の象徴だから。シュレヴィの股間からのっそりと生えている巨大な雄の象徴ですけどぉ―――っ!?
「もちろん、触ってもいい。しゃぶりたければ、しゃぶりつくがいい」
「いや、つくかいっ!!」
何故そうなるっ!シュレヴィは俺のにしゃぶりつきたいかもしれないけど、俺は別にそう言う趣味はっ!
「でも、先にしゃぶりつくのは、私だ」
シュレヴィが俺の目をまっすぐに見つめながら微笑んだ。
ロマンチックな感じに思えるシーンだが、シュレヴィが真面目な顔しながら告げているのは、あくまでも俺のシモしゃぶりたい話題である。
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