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第24話 派遣依頼。
―――遡ること、少し前。
「そうだ、王城より聖女と聖獣の騎士の魔物討伐派遣依頼があった。魔物討伐の経験を積ませたいらしい。もうすぐ活性期だからそれに参加したいと」
書斎にて、シュレヴィからそんな話があった。
俺とユッシは確信した。
これ、シーズン2のシナリオじゃんんんんっっ!!と。
しかしながらシュレヴィに魔王の魂は入っていない。
ラスボスでもないし、俺の素敵な旦那さまだ。
しかも魔王は別にいるし、その魔王も人間と争う気はない。適度に美味い酒とつまみがあれば満足する魔王である。
それに、美味い酒とつまみを作れる人間最高とまで言っているのだ。
だから人間を怨んだり、罠に嵌めて悲劇を起こそうとしたりなんてことはない。
魔王は毎日ヴァルトとイチャイチャ楽しそうだしなぁ。
聖女と聖獣の騎士が来たとしても、シナリオ通りになることなんてないと思うんだよな。真のヒロインであるユッシも望んでないし。
だが問題は……。
「俺、やつらにめっちゃ怨まれてんじゃん?」
聖女セラフィーネとはくまちゃん交流をしつつ親交を深めている。この前なんて、辺境伯領限定くまちゃんのお礼にマリン帽とセーラーコスのエメラルディス公爵領限定くまちゃんをもらってしまった。エメラルディス公爵領は海に面した交易都市で、船乗りの格好を模しているらしい。だがしかし問題は聖獣の騎士やサフィアス公爵。彼らからは相変わらず嫌煙されているのだ。
王太子殿下も俺のことを憎んでいるだろうし、フェリックスにはめちゃくちゃ敵対心を向けられた。その結果フェリックスは辺境伯領限定くまちゃんを手に入れられなかったわけだが。
「いつこっちに来るんだ?」
心の準備のためにも、そこは是非知っておきたい。
「いや、こちらには来ないぞ」
「えっ!?」
来ないの?原作通り経験積むんじゃないの?原作ではシュレヴィが招いたのでは。しかしそれは魔王の魂を持っていた原作のシュレヴィ。目の前のシュレヴィとは違う。
かと言って魔王グラディオスが招くタイプかと言われても、それも違う。
むしろフェリックスのことを手羽先と呼んで毛嫌いしてるしなぁ。
「な、何でっ!?」
経験を積ませたいという依頼なら、普通は国のトップからでは!?国王陛下からの派遣依頼なのでは?断っちゃっていいの!?
「こちらの戦力は足りているからな。私とイェレと魔王が交替制で討伐に参加する。副団長や英雄の他にもたくさんの猛者がいるし、聖女のユッシもいる」
王都では聖女としてはセラフィーネの方が優秀と呼ばれていたけれど、ユッシも充分に優秀な聖女である。怪我なんてフィールドで一瞬にして治す上に、いざとなれば自ら殴って技をキメて戦える聖女である。
「それに、リリヤもいる」
「お、俺?」
魔法のコントロールとか今まで全くできなかったから、役にたてるかなぁ。最近はシュレヴィのお陰で魔力の暴走も収まってきているから、少しずつ初級魔法を試したりはしているが、まだまだである。
「リリヤの蜜をしゃぶれば、私はなんだってこなせる」
「え」
また俺の、股間の蜜の話?
「討伐先でもリリヤの蜜をしゃぶるのが楽しみだな」
いや、討伐先でも蜜しゃぶる気満々~っ!!
……と言うか、俺は股間差し出す係?それで参加するの?
「あ、俺は後方部隊に医療班として所属するんで、閣下が戦っている間は一緒に来ます?」
ユッシがそう誘ってくれたので。
「うん、そうするぅ~~っ!!」
さすがにシュレヴィにしゃぶられる係だけのために同行は虚しいもん~~っ!
「ふむ、それもいい経験になるかもしれないな。さすがに戦っている最中にしゃぶるのはダメだと副団長に言われてな」
そっか、副団長が止めてくれて良かった。と言うか止められたってことは副団長とその話したってことぉっ!?ほんっとシュレヴィは俺の蜜をしゃぶることに関しては、全く隠さない。むしろ堂々としゃぶる話をしだすのだ。うぐぐ。それがシュレヴィのチャームポイントでもあるのだけど。
「では、そうしよう」
「あ、ありがと」
取り敢えず、ち蜜だけしゃぶらせてくれとか言われなくてよかった~。ユッシが誘ってくれなかったら確実にそうなりそうだったよっ!うぅっ!!
「でもそれならセラフィーネたちはどうするの?断ったら断ったらでまずいんじゃ」
「あぁ、そうだな。だからどうせ行くのならとアレキサンドライト辺境伯領を勧めておいた」
「アレキサンドライト辺境伯領!」
俺でも知ってる。だってロードナイト辺境伯と同じ辺境伯。大貴族だ。
「辺境伯家も、互いに助け合わねばな」
まぁ、そうだよねぇ。国境を抱えているってのもあるし、魔物討伐に於いても激戦となる可能性も高いのだ。
それに来ないのであれば懸念も少なくなる。少なくとも原作では聖女たちがこちらにきたのはシュレヴィのはかりごと。そうじゃなきゃそもそも戦力は足りていたのだ。
「あ、でもそれならアレキサンドライト辺境伯家だって戦力は充分なのでは?」
あちらはあちらで、しっかりと備えているだろうし。
「こちらには聖女が既にいるからな。平等性を訴えて、そちらも聖女を受け入れておけとごり押した」
「ごり押したんかい」
それはありなのか!?今助け合わねばとか言ってたけど、強引にごり押してたよ!まぁ、聖女を平等に派遣するのも大事だと思うけど!
***
そんなこんながあって、俺はシュレヴィと共に討伐に参加し、毎晩しゃぶられ、下の口でシュレヴィのをしゃぶらされているのである。
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