11 / 25

恋する雪の前夜祭①

side.Yukio(受け視点) 恋愛に特別な感情を抱く必要性なんて無かった。 だから多分、それまでのオレは。 本気のそれも…知らなかったんだと思う。 大学で仲良くなったヤツがいた。 ソイツは男だったけど… フラフラしてるオレにも、他のヤツみたく呆れたりしないで向き合ってくれてさ。 オレの内面を、ちゃんと見てくれるようなヤツだった。 それから段々と女の子と遊ぶ頻度が減ってきて。ソイツ…和樹(かずき)と毎日のように釣るんでたら、自然と男友達のが増えていった。 なんかいいなって思ってたら、和樹もオレの事を意識してるのが判っちゃって…。 したら和樹のアパートに泊まりに行った流れで、キスしてエッチして。互いに好きだと再確認し…晴れて恋人同士になった。 若かったなぁって、ほんの数年前の話だけどさ。 初めて恋をして盲目だったって…自覚はあるよ。 正直あの頃のオレ、相当重いヤツだったろうし…。 特に母ちゃん倒れて、実家に戻ってた時期はさ。 毎日電話だメールだって…不安で仕方なかったもんなぁ。 始めこそは、和樹も親身になってくれてたけど。段々と気持ちが、オレから離れてくのが判って… 更に焦って追い詰めちゃってるとか、ホント最低だったなって…。せめてアイツにちゃんと謝れたらって、思ってんだけど。 だから今でもずっと、後悔してるんだよね…。 自虐的にその話をすると。 智久さんは必ず、和樹の非を咎める。男の癖に情けないとか…黙って逃げるとかあり得ないとか。 まあ、それは智久さんがホント大人で。 男前な性格だからこそ、言えることなんだろうけどね。 この人と出会った場所が、和樹が昔住んでた同じアパートの、同じ部屋で。オレが同棲してた場所でもあったからか…つい和樹と比べちゃうのがダメなんだけど。 智久さんはさ、年上って言ってもオレより3つしか違わないのに。ホント包容力があって、男らしいく潔いというか…。 顔は普通な筈なんだけど。背が高く逞しい体型で、頼りがいがあるからさ。結構格好良いんじゃないのって、オレは思っちゃったんだ。 だから初めて会ったクリスマス以降も、軽いノリ装って頻繁に押し掛けたりして…。 まあ、下心はバレバレだったみたいだけど。 そんな迷惑極まりないオレでも拒むことなく… むしろガッツリと甘やかしてくれちゃう智久さんを。 意識しちゃうのは必然であって。 好きになるのなんて、あっという間だったんだ。

ともだちにシェアしよう!