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恋する雪の前夜祭①
side.Yukio(受け視点)
恋愛に特別な感情を抱く必要性なんて無かった。
だから多分、それまでのオレは。
本気のそれも…知らなかったんだと思う。
大学で仲良くなったヤツがいた。
ソイツは男だったけど…
フラフラしてるオレにも、他のヤツみたく呆れたりしないで向き合ってくれてさ。
オレの内面を、ちゃんと見てくれるようなヤツだった。
それから段々と女の子と遊ぶ頻度が減ってきて。ソイツ…和樹 と毎日のように釣るんでたら、自然と男友達のが増えていった。
なんかいいなって思ってたら、和樹もオレの事を意識してるのが判っちゃって…。
したら和樹のアパートに泊まりに行った流れで、キスしてエッチして。互いに好きだと再確認し…晴れて恋人同士になった。
若かったなぁって、ほんの数年前の話だけどさ。
初めて恋をして盲目だったって…自覚はあるよ。
正直あの頃のオレ、相当重いヤツだったろうし…。
特に母ちゃん倒れて、実家に戻ってた時期はさ。
毎日電話だメールだって…不安で仕方なかったもんなぁ。
始めこそは、和樹も親身になってくれてたけど。段々と気持ちが、オレから離れてくのが判って…
更に焦って追い詰めちゃってるとか、ホント最低だったなって…。せめてアイツにちゃんと謝れたらって、思ってんだけど。
だから今でもずっと、後悔してるんだよね…。
自虐的にその話をすると。
智久さんは必ず、和樹の非を咎める。男の癖に情けないとか…黙って逃げるとかあり得ないとか。
まあ、それは智久さんがホント大人で。
男前な性格だからこそ、言えることなんだろうけどね。
この人と出会った場所が、和樹が昔住んでた同じアパートの、同じ部屋で。オレが同棲してた場所でもあったからか…つい和樹と比べちゃうのがダメなんだけど。
智久さんはさ、年上って言ってもオレより3つしか違わないのに。ホント包容力があって、男らしいく潔いというか…。
顔は普通な筈なんだけど。背が高く逞しい体型で、頼りがいがあるからさ。結構格好良いんじゃないのって、オレは思っちゃったんだ。
だから初めて会ったクリスマス以降も、軽いノリ装って頻繁に押し掛けたりして…。
まあ、下心はバレバレだったみたいだけど。
そんな迷惑極まりないオレでも拒むことなく…
むしろガッツリと甘やかしてくれちゃう智久さんを。
意識しちゃうのは必然であって。
好きになるのなんて、あっという間だったんだ。
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