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第3話 呪い

「ふーーーーーん、とか言いながらお前、アタシ女の子になりたーい男の子好きー。なんて思ってんじゃねーの?」 「やだー、そしたら気持ち悪ぅ―い」 みんなで坂井を笑ってやった。 坂井が乙女ゲームに夢中でゲームキャラに心奪われているのが許せない。 お前は俺の顔色を伺っていれば良いんだよ………あれ、坂井が動かない。 「? なんだよ。急に動かなくなって泣いてんのか?」 がっくりと首を項垂れて、坂井は自分の足元に視線を落としてる。 「…ふふ…そうだよな…」 ボソボソと坂井が何かつぶやいている。 聞き取ろうと近づいた瞬間、俺の立っている床が急に青白く光った。 「!!なんだこれっ」 「!!」 床に直径2mほどの青く光る魔法陣が出現して俺の足が沈み、逃げようともがくが足が上がらない。 「やった!! 異世界召喚だ!! 夢物語じゃなかった。本当に神様いたんだ」 嬉しそうに坂井がはしゃいでいるけど、俺はそれどころじゃない。 「うわあああああっ!! 誰かっ!!下條っ、加藤っ、助けてくれーー!!」 底なし沼にハマったように魔法陣の中に膝まで沈んで、ガッチリ掴まれてて出られない。 怖くなった4人は俺を放り出して、机や椅子を蹴散らし教室の外に逃げていく。 下條と加藤に助けを求めたけど怖がって近寄ってこない。 「なんだよっ。お前ら友達じゃないのかよっ、あ、阿部、助けてくれよ。そこの高野と二人なら引き上げられるだろ」 「ひっ!」 「む、無理っ!」 「待って、山本、あっ!遠藤っ、西田っ、田中ぁ、誰でも良いから助けてくれよ!!」 顔が見えたクラスメイトの名前を片っ端から呼んだのにみんな逃げて行く。 「何だよ。なんだよっ!!誰か助けてくれっ!! 頼む、助け…」 勘違い女が保健室から戻ってきて腰まで沈んでいる俺の姿に驚いて目を見開いた後、ニヤリと不気味に笑う。 「呪ったかいがあったわ。地獄に行け」 !!! これはこの女の呪なのか?!!!

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