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第5話 魔法学園の退屈な1日 ーガストー・サオマー

100年に一度、木、土、水、火の魔物の驚異から人々を守り、そして新しい王を選ぶ為、伝説の神子が召喚される。 神子を守るのは選ばれし12人の勇者、彼らの体からは神子に捧げるための特別な魔法石が生み出される。 その魔法石は魔法陣に置くと神子様を守るための装備に変化する。 装備をまとった神子は勇者達に加護を与え共に魔物と戦う。 そして全ての魔物を倒した暁には……… 一人の勇者を王として選び、子を成して、その後100年の平和が約束される……… *** 「なーんて、言い伝えがあっても、魔法石を生みだした勇者が11人しか揃ってなくちゃ、神子様も来ないよなぁ」 ここは魔法学園、神子様と勇者が討伐する魔物の勉強をしながら、絆を深める場所。 現在、12人目の勇者と神子様待ちで、もう何日も部屋で缶詰め状態。 神子様と一緒にするはずだった魔物の弱点などの勉強は終了してる。 それは他の勇者達も同じで、皆 時間を持て余している。 窓の下では神子召喚の儀式を魔道士と神官たちがやっているが神子様は現れる気配がない。 「神子様召喚は、勇者が全員揃っててからの方がいいんじゃ…」 ドォォォン!!!!! 凄い音と共に窓から強い光が部屋に入ってきた。 「くっ!この光は雷じゃない。魔物の攻撃が始まったのか?!」 窓を開けた外にはピンクと紫と青が混ざった斑模様の光の柱が真っ直ぐ天を貫いている。 「何だ、アレは!」 下の方でも騒ぎになっている。 神子召喚の儀式を行っていた神官達と護衛騎士達が大慌てで、道のない森の中に入って行く。 まさかあれが神子召喚? 祭壇はここだぞ!! 何が起こっててるんだ? くそ、学園の中から階段で降りては間に合わない。 窓から飛び降り、落ちながら水魔法で雲を作って地上降り立つと、急造のパーティー(?)の最後尾にいる新米の兵士の首を捕まえた。 「うわあっ、さ、サオマ様っ!!」 「一体何があった!」 「知りません。俺には答えられないです」 『答えられない』ね………なるほど。 「そぉーんじゃ、ちょっと泳いでみるかぁ」 「はい?」 魔法で大きな水球を作ると新兵の頭にかぶせた。 「が、が、ぼ、ぼぉっ」 新兵は頭だけで溺れて苦しそうに顔が歪む。 「このへんがギリかなー?」 魔法を解いてもう一度聞く。 「おい、一体何があったんだ?」 げほげほ咳き込んでばかりいて答えない。 「もぉー、一回いくかぁ」 「おおお、お待ち下さい、サオマ様。ごほっ、い、いま神子様召喚の儀式を行ったのですが、なぜか神殿ではなく森の中に光の柱が出現したのです」 「? んじゃあ、神子様は森の中に召喚されてるってことか?」 「わかりません」 「わからないってお前なあ」 「なぜこうなったのか、光の柱の色も言い伝えと違うので何が召喚されたのかわからず、確認のため神官と護衛騎士で森の中に行くことになったんです」 「じゃあ、なんで俺に隠そうとすんだよ」 「サ、サオマ様だけというわけではないです。全て内密にするようにと神官達が話していました」 「………ふむ」 神官達が自分たちのミスを隠そうとしているのか? それとも誰かの命令で動いているのか?…… あー、面倒くせえな、俺は色々と考えるの得意じゃないんだ。 「うっし!そんじゃ俺が神子様を迎えに言ってやろう。ついでに顔も見てやろうじゃないか。」 「ちょっと困ります。駄目ですよ。あーー、サオマ様――っ!!」 再び雲を作ると空へと舞い上がり魔法陣のところへ向かった。

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