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第15話 終わった
目を開けるといつもの部屋に寝かされていた。
せっかく外に出られたと思ってたのに…またこの部屋に戻って来たのか………
体が眠る前よりもめちゃくちゃ重くて怠い…こういうのって鉛のように重いって言うのかな。
とにかく全身だるくて特に腹の辺りが、ずんと重くて凄く不快だ………マジで何もしたくない。
ごろりと寝返りを打つど明るかった窓の外は真っ暗になっている。
あれからどのくらい時間が経ったんだ?今何時なんだ?
……まあ、どうでもいいや、とにかく下半身が怠い。
視線を身体に落とせば今まで着ていた寝間着じゃなく、肌が透けて見える薄いピラピラした服を着せられている。
下着すら付けていない格好で掛け布団なしに寝かされていた。
「趣味の悪い格好させやがって………! 何だこれはっ?!」
俺の腹に変な模様が白く光を放つ蛍光塗料で落書きされている。
飛び起きて落書きを手で擦ってみるが全く落ちない。
「くそっ、石鹸で洗えば落ちるのか?」
「神子様。お加減はいかがですか?」
「!」
コイツ誰だ?エイプじゃない。
「お前、誰だ?」
「申し遅れました。私は大魔道士エイプ・フリーレル様の一番弟子サレタ・ロコデシと申します。フリーレル様より神子様の経過観察を仰せつかりました。お水をどうぞ。何かお食べになりますか?」
「ああ、何か食べたい。それからこの服を着替えたい。俺の服どこ?」
水を受け取ろうと体を動かすとケツと腹が同時にズクンっと熱くなる。
「あぅっ」
「神子様」
「平気だ!触んな。早く俺の服 返せよ!」
「申し訳ありません。まだ神子様のお体が安定していませんので、すぐ治療できるようにしばらくはこのままでお願いします。お着替えをご用意するにも私の一存では決められません」
「じゃあ誰に聞けば良いんだよ」
「大魔道士エイプ・フリーレル様です」
またアイツか。俺の体をぐちゃぐちゃに弄りやがった奴に聞かなくちゃいけないのかよ。
あれ?! 催眠術が解けてる。自分の意思で話せてるぞ!
「それじゃあ早くエイプに聞いてきてくれよ」
「申し訳ありません。フリーレル様は『聖なる乙女の儀式』で魔力を大量に使われたため、今はお休みになっておられます。フリーレル様の体力が回復されるまでお待ち下さい」
「はあ?! 俺が寝ている間に『聖なる乙女の儀式』が終わっただって?!お前ら俺に何をした! はうっ!」
腹とケツが別の生き物のように熱くドクンドクンって一定のリズムで脈を打ち始めた。
せっかく自由に話せるようになったと思ったら今度は体の方がっ
「あ、あ、身体が変だ。助けて、は、腹がドクンドクンって…熱い」
「それは、よろしゅうございました」
「???何が良いんだ!…あんっ!!」
にっこり笑って答えるエイプの弟子にムカついて怒鳴りつけたが、ケツが疼 いて変な声が漏れて格好つかない。
「もうすぐですから頑張って下さい。今はまだ明け方の4時になります。大事なお体のために安静にしてゆっくりお休み下さい」
「こんなんで、ゆっくり眠れるわけ無いだろっ!!あんっ、嫌だっ!んああっ、怖いっ」
「怖がることはありません。神子様大丈夫ですから、体が安定したら、すぐに良くなりますから」
何かが腹の中でうねり、熱いような痛いような気持ち良いような…今までに経験したことのない感覚が怖い。
「あっ、あっ、あああっ、あんんんんっ!!」
色々聞きたいけど、まずはこの変な声を誰か止めてくれっ!!
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