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第39話 ボクのもの ーノーベン・アルーバー

土属性の魔物を討伐する日がやってきた。 魔物討伐隊を見送る式の前に祝福の義式の時の兄様の処分が決まり、選ばれし勇者達の前で国王の命令書が読み上げられた。 「アルーバ男爵家の兄弟は罰として一番最後に密契の儀式を授かることに決まりました」 「はあっ?!なんでボクまで??しかも平民がボク達より先に神子の味見をするのかっ!!」 「なんと下品な。口を慎み下さい。神子様は明らかにディッセン・アルーバ様に無理やり祝福を奪われ、昨日まで体調を崩されて床に臥せっておられたのだ。奪った様子は他の勇者、皆が見ている。言い逃れは出来ませぬぞ」   「くっ!!無礼を働いたのは兄様でボクは止めようとしたのに」 小さく抗議したら、兄を止められてない、アルーバ男爵家の連帯責任と言われ黙って従うしかなかった。 国王陛下の命令書を渡され、誓いの署名を二人連名でさせられてる間、勇者達が嬉しそうにニヤニヤ笑っている。 「命があるだけありがたいと思え」 ラリー殿下が吐き捨てるように言って魔物討伐に行かれた。 怒りの収まらないボクは部屋に兄様を連れて来て怒鳴りつけた。 「兄様のせいで平民以下の扱いになったぞっ!!」 「ノーベンすまない」 「しかも一番最後なんて最悪だよっ!兄様どうしてくれるんだ」 「俺が代わりにいい女を連れてくる。それならいいだろう」 「何とぼけたこといってんの?そこら辺の平民の女になんか意味ねえよっ!!高貴な血でボクを王にさせてくれるというからあの男を抱きたいんだ。それを散々平民が抱き散らしたおさがりの神子を抱かなくちゃいけないんだぞ。しかも誰かに先に孕ませられていたらどうしょうもないんだぞっ!!」 「………」 「王になって法律を変える。兄弟でも、愛し合っていれば結婚できるってボクの夢が叶わなくなるじゃないか…」 「………」 「! そうか、わかったぞ、兄様は神子様から魔力を沢山貰ってボクを潰すつもりだったんだな。」 「ち、違うっ、違うぞ。そんな事するわけないだろう」 図星を指されて兄様の顔は青くなる。 嘘が下手だね、兄様。 「くくく、浅はかだな、ボクの事がまだわかってないみたいだ。いくら沢山祝福を貰ったってボクと兄様の力の差は埋まらないよ? ボクはアルーバ男爵家の中で一番強いって、まだわからないの?ボクに逆らうと父上と母上みたいに殺す(なる)よ?」 「ノーベン、正気か?!俺は選ばれし12人の一人だぞ。殺したら勇者に欠員が出るじゃないか。それにお前も勇者殺しで捕まる。世界を救えないじゃないか」 「それがどうしたんだよ。兄様が手に入らないならこんな世界に用がない。兄様を殺してボクも死んでやる」 兄様の愚行に腹が立って手から魔法の炎が出てしまった。 「や、止め………俺は死にたくないっ!! おおお、俺を愛しているんだろっ!!」 「うん、凄く愛してるよ。だから兄様…選ばせてあげる。ここで今決めて、死ぬのと、ボクの妻になるの。どっちがいい?」 優しく問うボクの顔を見れず、兄様はガタガタ震えてる。 「兄様?どっちにする?」 「………何でも言うことを聞く。命だけは…」 答えは決まっているはずなのに煮え切らない兄様にキレた。 「それじゃわからないよ。ちゃんと答えてよ。兄様、死にたいの?」 「………お…お前の…つ、妻に…な、る」 ニッコリと笑って優しく抱きしめた。 「ひっ!」 「やっと、言ってくれた。嬉しいな。今から兄様はボクのものだ」 兄様はボクに処女をささげて妻となった。 明日は指輪を買ってサプライズで二人だけの結婚式を挙げようっと💗

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