45 / 113

第45話 前払い

朝っぱらから不機嫌な顔しているエイプ・フリーレルとガストー・サオマの二人が部屋に来た。 腹が立つからエイプの顔なんか見たくもないんだけど、今度はちゃんとした報告があるからって言うから入室を許可した。 よりにもよって青頭を連れて来たのかよ。 コイツ俺のこと絶対に嫌いだろう。 祝福の儀式の時、汚いものに触れたみたいに口を拭ったの見ているんだからな。 「それで坂井を見つけてきたのか?」 この短時間でありえないけど、とりあえず聞いてみる。 「いえ、見つかっておりません」 「出ていけっ!!」 枕を投げつけるとエイプに当たる手前で真っ二つに切れた。 「オートガードです。弱い攻撃は風邪魔法で防げるので…」 弱い攻撃とかいいやがって 「くそっ!!」 「お怒りをお沈め下さい。神子様が召喚された時、神子様を見つけて魔法学園にお連れしたのがガストー・サオマ侯爵です」 「何?本当か?お前が俺をここに連れてきたのか?」 「はい」 「聞きたいことがある。エイプは良いと言うまでこの部屋に入ってくるな」 「え………はい。失礼します」 嘘つきエイプを下がらせたは良いけど、こいつもちゃんと本当の事を答えてくれるかわからないぞ。 信用していたエイプですら俺を抱くために嘘をついていたからな。 「ガストー、俺が召喚された場所に他に誰かいなかったか?」 「はぁー、またこの質問ですか。大魔道士フリーレルと同じ事を聞くんですね。いましたよ。沢山。神子様は森の中に召喚されたんで、神官達と騎士達と俺がお迎えにあがりました」 「神官達の他に誰かいなかったか!?」 「俺も周りを見回したけどいなかったと思いますよ。あ、なんか変なオブジェが落ちていたなぁ」 「オブジェ?…なんだろう?………そうか」 「じゃあ俺は部屋に戻ります」 「待て、このまま帰ることないだろう。俺と『儀式』をしたくないか?」 色っぽくガストーを誘う。 「………俺はまだ討伐に行かないからいいです」 「待てよ。今すぐ俺を抱かせてやる。その代わりお前が俺を見つけた場所まで連れて行って欲しいんだ」 「…それが先に抱かせる理由ですか?」 「そうだ」 「ふう、気に入らないな。俺は自分の順番が来るまで待つことにします」 「待て、待ってくれっ!!俺は神子じゃない。本当の神子を探しに行きたいんだっ!!」 「そう言っていることはフリーレル様から聞いています。こんな生活は辛いから逃げたいんだろうけど、神子様を逃したら俺が困るんですよ。悪く思わないで下さい」 「違う、俺は逃げるつもりはない。本当にここには二人で来たんだ。もうひとりの奴が本当の神子で俺は召喚に巻き込まれただけなんだ。だから本当の神子に仕事を任せて俺はここでのんびり過ごしたい。勇者に抱かれるのはお前で最後にしたいんだ」 「だから森に本当の神子を探しに行きたいと?」 「そうだ。この役目は俺じゃない」 「だけど神子様はみんなに力を与えているじゃないか。その力は神子様という証じゃないんですか?」 「エイプが異世界の人間はその素質があると言ってた。多分俺のいた世界の奴なら全員あるんだろう。それなら神子は俺よりももっと力があるはずなんだ」 「……そいつにはもっと力がのか………ふん、良いだろう」 「連れてってくれるのか!!」 「ああ」 「じゃあ今すぐ連れてってくれ」 「そうだな。気が変わってしまうと困るから、まずは前払いしてもらおうか、神子様」 ガストーは俺の服を脱がした。

ともだちにシェアしよう!