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第55話 燃えて消えた ※ ーノーベン・アルーバー

折角 幸せになれる方法を見つけたのに、危険な魔法だなんて。 でも もし失敗して愛するディッセンに何かあったら…そんな事耐えられない。 やっとボクだけのディッセンになったんだ。 傍にいてくれるだけでいいと思わなくちゃ。 うるさいハエ共は またボクが焼き払えばいいや。 「…あ、思っていたより時間がかかっちゃった。お昼も随分すぎちゃったな」 ディッセンがお腹すかせて待っている。 昼食を持っていって二人で食べよう。       ボクは食堂に行って二人分の食事を頼むと配膳係が驚いている。 「ノーベン・アルーバ様、今日のお食事は足りませんでしたか?」 「足りない?何のことだ?」 「あ、お部屋にご不在でらしたのですね?申し訳ございません。それではお部屋に届けた料理は冷めてますので、すぐに新しいものをお作りいたします」 「頼む急いで部屋まで運んでくれ」 「畏まりました」 きっとディッセンはボクが戻らない事、心配して寂しがっているはずだ。 急いで階段を駆け上がり息を切らして部屋のドアを開けた。 「ディッセン遅くなってごめ………んね」 ベッドの傍に食事が乗ったワゴンと一人分食べかけの皿、そしてベッドの上にはディッセンに跨っているメイドが目に飛び込んできた。 「きゃあっ」 「………」 なんだこれ、 なんでボクの妻がこんな女に また汚されてんの?????????? 「…何をしてるんだ…何をしているんだこの糞女ぁっっっっ!!」 「やっ、あん💗、お放しください ディッセン・ア…」 「馴れ馴れしくボクのディッセンを呼ぶなっ!! 『炎の神よ。我に最大の力を与えよ、この女を地獄の業火で焼き尽くせっ!!!』」 「ひっ!! ぎゃああああっ」 「ぐがぁぁぁぁっ」 最強クラスの炎の呪文を放ち、メイドは一瞬のうちに燃えて消えた。 「ディッセン、ディッセン。ボクが目を放した隙きにまたメイドに襲われるなんて可哀想すぎるよ。怖かったねディッセン」 ディッセンが白目を剥いて泡を吹いている。 「ディッセン?どうし………はっ!」 ディッセンのペニスが焼き切れてる!! 大変だ!どうしよう、どうしよう、どうしようっっ!! 「そうだ、すぐにフリーレルを呼んで治療してもらうから待ってて!!」 急いでフリーレルを連れて来てディッセンの治療と再生を頼んだ。 「まったく貴方は何をやっているのです」 「だってメイドが、ディッセンが…」 「………スペシャルヒール」 みるみるディッセンの怪我や太ももの火傷が綺麗に治っていく………一部を除いて ディッセンの股間には何もなくなっていた。 「なにこれ、ここもちゃんと元通りに治してよ。メイドを焼き殺した時に一緒に焼けちゃったんだ」 「消失してしまったものは再生できません」 「え?どういうこと?」 「0からは作れないということです。指や腕を切断されたら、切れた部位を繋げる魔法はかけられますが、失ったものは作れないんです」 「え?」 「この部分は灰になっているんでしょう?」 「…『地獄の業火』で蒸発した」 あのクソメイドの中にあったなんて知らなかったから一緒に燃やしてしまった。 フリーレルは、はーーっと深い溜息をもらした。 「ない物は繋げられません。お気の毒ですがディッセンはこれ以上治せない」 「治せないってどう言う事?まさかディッセンはこのまま?………わああああっ! ごめんねディッセン、ごめんね」 女達に奪われて汚されたディッセンのペニスは一度もボクの処女を奪うことなく消えた。 ボクがなくしてしまったんだ。 気を失っているディッセンを抱きしめて泣きながら沢山謝った。 「それでは、私はこれで失礼します」 「ヒック………待って!」 「はい?」 「……『聖なる乙女の儀式』をやってくれ」

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