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第103話 変な味

「ぐるるっきゅるるるるーー」 でかい音と空腹で俺は目が覚めた。 「ぐるるっきゅるるるるーー」 あーーー、腹が減った。凄くよく寝た気がする。もしかして食事抜きで寝ていたのか? 周りを見回すと、いつもの部屋、いつものベッドの上、いつもと違うのはベッドの横にある椅子にエイプが座って寝ていることだ。 なんでコイツここで寝てんだ? このところ、いつも朝まで俺に乗っかっていたのに、まあ、身体が休めていいけど… ん? ちょっと待て記憶がなんか変だぞ。 昨日 俺はどうしたんだ? どうやってベッドに入ったんだっけ? 確か…そうだ! 凱旋パレードが終わって魔法学園に帰ってきたら腹がなんか変になったんだ。 自分の腹を確認するとギンギンギラギラ趣味の悪い七色のLEDで腹の模様が光ってる状態になっていてウザい。 眩しいわ、落ち着かねえわ、腹立つわ、この腹なんだよ。 これを仕掛けたのは絶対にコイツしかいない。 俺は深く息を吸うと思いっきり大声で怒鳴った。 「おい、エイプ起きろっ!!!」 ベッドの横の椅子に腰かけて船を漕いでいたエイプはびっくりして飛び起きた。 「はっ、神子様、お目覚めになられましたか?」 「お前ふざけんな。居眠りこいてんじゃねえよ。それにこの腹なんだよっ!!」 「申し訳ありません。三日間寝ずにずっと神子様のそばに控えていたので、ついうたた寝をしてしまいました」 「寝ずにってお前今寝てたじゃねえか」 ん?三日? 俺、三日も寝てたのか?だからこんなに腹が減っているのか。 「話はあとだ。腹が減った、今すぐ飯持ってこい」 「はい、すぐにお食事をお持ちします」 ギラギラの模様のことで文句を言いたかったが、それよりも腹が減って減って。 まずは飯を食わないと文句を言う前に倒れちまう。とにかく飯が先だ。 俺がいつ目が覚めてもいいように用意していたらしく、すぐに料理が出てきた。 世界各国の料理のフルコースみたいなのがずらりと並べられ、明らかに今までとは違う質と量で用意されている。 「これは多すぎるだろ」 「どうぞ神子様、好きなものを好きなだけお食べ下さい。食べられないものは次からは出しませんので」 「ふーん…あ!」 これ前に食べたやつで桜餅っぽくって好きなんだよな。 手に取ると桜餅を口に入れるとあまりのまずさにすぐに吐き出した。 「うえっ!!」 「神子様っ!!大丈夫ですかっ?!」 「なんだこれ、まずい。いつも違う。薬臭いというか、何とも言えない変な味」 とても食べられたものじゃない。 満面の笑みでエイプが皿を下げさせて別の料理を差し出した。 「お身体の変化のため味覚が少しお変わりになったのでしょう。大丈夫です。また食べられるようになりますから、まずは食べられるものを探しましょう」 お身体の変化?…俺、体調悪くて3日も寝てたのか。それなら仕方ないな。 次から次へと料理を出され、結局食べられたのは半分くらいだった。 大好きだった揚げ物とか脂ぎったものは一口で気持ち悪くなり、逆にサラダやフルーツを多く食べた。 「神子様、これから毎日誠心誠意お世話をさせていただきます」 「改まってなんだよ。お前はいつも俺の傍で世話しているじゃないか」 「ふふふ💚そうですね💚これからもずっと一生お世話させていただきます💚私の神子様💚」 「なんだよ、私の神子様って気持ち悪いな。そうだ、この腹の光ってんの なんだよ。どうにかしろよ」 「時が来れば収まりますので もうしばらくお待ちください」 時が来れば収まるのか、まあいいか。 そしてこの日を境にエイプが俺を抱くことはなくなった。 風呂の世話をするときに腹やアソコをヤリたそうに撫でまわすが それだけだ。 正直言ってアイツの抱き方がねちっこくて、うんざりしてたからこれは本当に嬉しかった。 そういえば、数日経つと男が欲しくて疼いていた尻もムラムラする気持ちも不思議なくらい落ち着いている。 ゆったりと、だらけた生活を過ごし始めて5日が経った。

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