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第112話 光の柱 ーガストー・サオマー

俺とラリー殿下とオークト様は青い光に弾き飛ばされた。 「「「うわっ!!」」」 神子様を中心に小さな青い魔方陣が展開されて それは光の柱を作り意識のない神子様の身体は宙に浮きあがらせた。    「待て神子、私を王にしろっ!!」 ラリー殿下が神子様を捕まえようと手を差し出すけれど、光の壁が阻んで中に入れない。 先程の戦いで破壊された部屋には天井という障害物が無いため、神子様はどんどん上へ上へと昇っていく。 これは一体何が起こっているんだ。 神子様が遠く小さくなっていく。 「サオマ様!外へ私を上に連れてってください!!」 オークト様の声にハッと我に返り、言われるがまま雲を作って二人で飛び乗った。 背後でラリー殿下とアリージャが何か叫んでいるが気にする余裕はない。 セプターを王にするため 神子様を失うわけにはいかないんだ。 光の柱に沿うように飛んでいるとオークト様が声を上げた。 「サオマ様っ、あれを見て下さい」 言われた方へ視線を送ると驚く光景が広がっていた。 「なんだこれは!!」 光の柱が別に2本も建っている。 一つは紫色の柱で神子様が召喚された場所あたりに建っていて、もう一つはピンク色の光の柱で、その柱が立つ場所は…あの方角はバンテール邸じゃないか?! 「これはどういうことだ。なんでバンテール邸に柱が建っているんだ!!」 なんだか嫌な予感がする。一刻も早くバンテール邸に向かおうと雲を向けると 「サオマ様、どちらに向かわれるんですか!?神子様を追って下さい」 …それはわかっている…でも…あそこには…… 「サオマ様、国王には神子様が必要です」 「くっ、わかりました」 バンテール邸に行きたいところを我慢して、神子様がいる空に向かって真っすぐに飛ぶ。 光の柱の中の神子様に追いつき影が見えてきた。 「神子様お戻り下さい。神子様っ!!」 オークト様が必死に声をかけると、神子様の影は上昇スピードを加速していき、追いつくどころか差は広がっていく。 「神子様ーーーーーっ!!」 目で姿を捉えることが出来なくなったころ、3本立っていた光の柱もゆっくりと消えていった。 「……天に帰られてしまわれた。そんな…酷いです 神子様……まだお身体を診せていただいてないのに何で帰ったんですかー!!」 オークト様の声が悔し涙で震えている。 俺は嫌な奴だと思われるかもしれないけれど神子様がいなくなって嬉しい。 これでセプターの妻の座は俺だけになった…… 「オークト様、ここは空気が薄くて寒い、魔法学園に戻ります」 「!! 確かに、ここは地上と違いますね!! 高い場所は寒くて空気も薄い!!初めて知りました。もっと上に行ったらどうなるんでしょう。サオマ様雲を飛ばしてくれませんか?」 「それはまた今度にしましょう。ここにはいつでも来れますから」 「はっ!そうでしたきっと下では、神子様がいなくなったことで混乱していますね。すぐに戻りましょう」 魔法学園に戻るとラリー殿下を中心に家臣達も加わりみんなで揉めていた。 オークト様から事のあらましを聞かされたにも関わらず、王族側についている者共は王妃となる神子様がいないから王の座と城を明け渡すことに納得しない。 それはただ髪の色が薄いセプターが王になることが気に入らないのと、自分達の居場所を奪われるのが嫌なのだろう。 とうとう王城に居座る旧国王(現フェイブ公爵)と腐敗した政治を行ってきた家臣達を仕方なく、生き残った勇者4人が力ずくで馬車に乗せて追い出した。 ラリー様とフェイブ国王は仮にも元国王だったので処刑するわけにもいかず、身分を公爵に下げ、貴族とは名ばかりの田舎の小さな山城に追いやり二度と首都には戻ることは出来ないようにした。 100年ぶりに悪政から解放された国民は新国王と皇子様にお祝いと感謝の声を上げて街中は幸せに包まれた。 そして100年後に、復活する魔物達に備え、魔法学園は封印されることになった。

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